てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

東芝株式会社の企業研究2017年度

東芝株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役に立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

 

代表取締役

氏名

車谷 暢昭(くるまたに のぶあき)

経歴

1980年3月 東京大学経済学部卒業

1980年 4月 (株)三井銀行(現(株)三井住友銀行)入行

2007年 4月 (株)三井住友銀行執行役員

2010年 1月 同社常務執行役員

2012年 4月 (株)三井住友フィナンシャルグループ常務執行役員

2012年 6月 同社取締役

2013年 4月 (株)三井住友銀行取締役兼専務執行役員

2015年 4月 (株)三井住友銀行取締役兼副頭取執行役員、(株)三井住友フィナンシャルグループ副社長執行役員

2017年 5月 シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン(株)会長兼共同代表

2018年 4月 当社代表執行役会長CEO

2018年6月 当社取締役、代表執行役会長CEO

www.toshiba.co.jp

代表メッセージ

「人と、地球の、明日のために。」持続可能な社会の実現に貢献していきます

www.toshiba.co.jp

企業理念

東芝グループ理念体系は、「東芝グループ経営理念」、「私たちの存在意義」、「私たちの価値観」の3つの要素で構成されています。”

www.toshiba.co.jp

 

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年

1875年7月

資本金

2,000億4,400万円(2018年8月3日現在)

株式公開

5億4,400万株(2019年3月28日現在)

事業拠点

www.toshiba.co.jp

詳しい事業内容
  1. エネルギーシステムソリューション
  2. インフラシステムソリューション
  3. リテール&プリンティングソリューション
  4. ストレージ&デバイスソリューション
  5. インダストリアルICTソリューション
  6. その他

業績

2017年度(2018年3月期)

売上高

連結売上高: 39,476億円(3兆9476億万円)前年比98%

各セグメント別

エネルギーシステムソリューション:8,447 億円(20 %)前年比 87 %

インフラシステムソリューション: 12,468 億円(29 %)前年比 99 %

リテール&プリンティングソリューション: 5,228 億円(12 %)前年比 103 %

ストレージ&デバイスソリューション: 8,796 億円(21 %)前年比 105 %

インダストリアルICTソリューション: 2,589 億円(6 %)前年比 108 %

その他:5,256 億円(12 %)前年比 98 %

消去:△3,308 億円

*セグメントごとの業績詳細はアニュアルレポートP4に記載されている。

2018年3月期アニュアルレポート

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/ar/ar2018/tar2018_fr.pdf

 

営業利益率

連結売上高:641 億円(1.6 %)前年比△179 億円

エネルギーシステムソリューション:△148 億円(△1.8 %)前年比 269 億円

インフラシステムソリューション: 480 億円(3.9 %)前年比 △104 億円

リテール&プリンティングソリューション: 270 億円(5.2 %)前年比 107 億円

ストレージ&デバイスソリューション: 473 億円(5.4 %)前年比 △103 億円

インダストリアルICTソリューション: 13 億円(0.5 %)前年比 △58 億円

その他:△489 億円(△9.3 %)前年比 △315 億円

2018年3月期決算短信

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2017/q4/ter2017q4.pdf

2018年3月期アニュアルレポート

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/ar/ar2018/tar2018_fr.pdf

営業業績の分析

以下はアニュアルレポートP3より抜粋である。

“当期の世界経済は、米国で個人消費、設備投資、輸出が増加するなど堅調な成長が続き、欧州では、ユーロ圏でドイツをはじめ緩やかな成長が続く一方、英国ではEU離脱の影響などから成長が減速しました。中国では、インフラ投資や輸出が伸び、景気は持ち直しました。その他のアジアも全般に景気は緩やかに回復しました。こうした中、エネルギー価格が緩やかに上昇しました。国内経済は、個人消費が持ち直し、設備投資も緩やかに増加し、輸出も緩やかに回復しました。

来期は、米国で大型減税等により堅調な成長が続き、ユーロ圏でも緩やかな成長が続くとみられます。中国では、成長の質を重視した政策運営により、やや減速が見込まれます。総じて世界経済は好調な成長が続き、日本経済も緩やかな回復が続くとみられます。”

向先地域別売上高

日本:22,572億円 構成比57 %

アジア:8,984 億円 構成比23 %

北米: 3,757億円 構成比10 %

欧州:2,681 億円 構成比7 %

その他:1,481 億円 構成比 4 %

 

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成長性

経済的動向

2018年6月1日に東芝メモリを日米韓企業連合へ約2兆3億円で売却が完了したニュースがでた。2015年の不正会計問題をきっかけに東芝子会社の米原子炉技術大手ウエスチングハウス(WH)の巨額損失問題(厳密には東芝の孫会社原発建設会社のS&Wとの間)の埋め合わせのために当時売り上げの主力であった東芝メモリの売却を行った。

これにより、債務超過問題が一段落つき、なんとか経営を続けられることになった。新たな東芝の成長戦略として「東芝NEXTプラン」が2018年11月8日に発表された。東芝NEXTプランは2019年度から5年間の計画で、2023年度に売り上げ4兆円、営業利益率8%以上10%目標というものである。

簡単に内容をまとめると、4つの改革と成長投資の2本柱について述べられている。また、サイバー・フィジカル・システム(CPS)については後程成長性にて述べる。

4つの改革
  1. 構造改革

構造改革による収益体質の改善。液化天然ガスや英国原発事業などの日注力事業からの撤退、人員適正化に伴う5年間で7,000人のリストラ、生産拠点及び子会社の再編。

  1. 調達改革による原価率の低減

調達改革の効果約650億円の原価改善。

  1. 営業改革によるアップサイドの追求

営業リターンの改善、営業体制の強化、プロジェクト受注審査。

  1. プロセス改革によるオペレーション改善

グループ全体でオペレーションを標準化・ディジタル化。人員対比の売り上げ・利益向上に向けた業務効率改善の基盤構築を目指す。

成長投資

過去の成長投資がメモリ事業に集中していたが、主要成長投資案件に配分する計画。

 

東芝NEXTプラン

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2018q2_2.pdf

研究比割合

2017年度の研究開発費は1,787億円(連結売上高の4.5 %)となっている。

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個人的考察

まえおき

まず、東芝についてはいろいろなことが起こりすぎて研究をするのが非常に大変だと思う。財務状況からわかることとして、まず、営業利益率の1.6 %は相当危険なレベル。ちょっとした景気動向で赤字転落もありうるレベルであると考えている。(以前から大赤字は出していたが・・・)個人的にはこれだけ歴史のある会社であるし、倒産するようなことがないと願いたい。

メモリ事業の純利益割合

企業体系としてNANDを含むストレージ&デバイス(旧名:電子デバイス)の純利益の割合を把握するために、2010年度から2017年度までの売り上げ、利益額、そして利益額に対するメモリ事業の売り上げと利益率を以下に示す。

2010年度

6兆2,640億円 2,445億円 862億円 35 %

2011年度

5兆9,964億円 1,149 億円 290 億円 25 %

2012年度

5兆7,222億円 921 億円 414 億円 45 %

2013年度

6兆4,897億円 2,571 億円 2,416 億円 94 %

2014年度

6兆6,559億円 1,704 億円 2,166 億円 127 %

2015年度

5兆6,687億円 △7,087 億円 △1,016 億円 - %

2016年度

4兆8,708億円 2,708 億円 2,470 億円 91 %

ここまではメモリ事業は連結決算込みである。ここからわかることは、携帯などの小型無線端末の爆発的普及により、半導体の需要が高まり、総合電機ながら営業利益のほとんどをメモリ事業が賄っていたことが分かる。ただ、不正会計問題から売り上げや利益額の修正が多々あり、違うページでは全く異なる数値であったりしたのであくまで目安程度に参考にしていただきたい。一応最新の資料から引用したと思われる。また、引用先のリンクもすべて添付しておくので気になる方は各自確認してほしい。

2014年度連結決算および過年度決算修正(2010~2014年度引用)

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2014q4_1.pdf

2014年度連結決算

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2014q4.pdf

2015年度連結決算

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2015q4_1.pdf

2016年度連結決算

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2016q4.pdf

2017年度連結決算

https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/pr/pdf/tpr2017q4.pdf

 

成長性について

東芝Nextプランによると、今後の成長分野として特に他社との差別化を図るためにサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業を目指すというものである。CPSとはIoT(Internet Of Things)デバイスからデータとして収集し、サイバー空間(クラウド上)でAIによる分析を行い、フィジカルデバイスにフィードバックする一連のシステムである。このシステムにより、今まで人間の経験に頼っていた分析をAIで行うことで膨大なデータ、複雑なシステムを効率よく動かす最適なオペレーションを行うことができる。

東芝Nextプラン

www.toshiba.co.jp

時事問題

不正会計問題

これは2009年から2015年にかけて主力事業で営業高と営業利益の水増しが行われていたことである。

エスチングハウス巨額損失

これは東芝が2006年に買収した米原子炉技術大手WHとWHの子会社S&Wが出した7,000億円の巨額損失。

 

学会論文のほうが信憑性あると思うので、以下のリンク参考にしてください。

東芝不正会計事件はなぜ起こったのか

http://www.sess.jp/publish/annual_sv/pdf/sv51/m85_11.pdf

他のwebページ

東芝の損失はなぜ105億円から7000億円になったのか

agora-web.jp

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