てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

日本電産株式会社の企業研究

日本電産株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

 

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日本電産ロゴ(HPより)

 

 

代表取締役

氏名

永守 重信

経歴

[1]

1967年(昭和42年)3月     職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒業

1973年(昭和48年)7月     28歳で日本電産株式会社を設立し、代表取締役社長に就任

2014年(平成26年)10月    日本電産株式会社 代表取締役会長兼社長CEO(最高経営責任者

 

現在は新社長に吉本浩之副社長が就任した。(2018年4月1日)

 

企業理念

[2]日本電産グループは、コーポレート・スローガン「All for dreams」のもと、全グループ社員が一丸となって「夢を形にする社員集団」となり、常に「挑戦と成長と強さ」を追求するとともに、ステークホルダーの皆様の「夢」のために企業活動を展開し、企業価値の向上に努めてまいります。

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年

1973(昭和48)年7月23日

資本金

877億84百万円(2018年3月末現在)

株式上場

東証一部(上場コード:6594)

事業拠点

[3]

研究開発拠点のみ抜粋します。

中央開発技術研究所

HDD用モータの製品開発・先行開発、基礎研究、FDB技術、及び生産拠点への支援業務

 

生産技術研究所

日本電産グループの成長を加速するためのものづくり基盤の強化と、大学、研究機関、企業とのネットワークによる先端技術取り組みのオープンイノベーションを推進する。

 

グローバル生産技術統括本部

日本電産グループの生産技術、要素技術の横串機能及び各種金型設計・製作、塑性加工、精密加工を主とした工法開発と技術革新

 

グローバル生産技術統括本部 郡山分室

日本電産グループの生産技術、要素技術の横串機能及び各種金型設計・製作、塑性加工、精密加工を主とした工法開発と技術革新

 

グローバル生産技術統括本部 新川崎分室

日本電産グループの生産技術、要素技術の横串機能及び各種金型設計・製作、塑性加工、精密加工を主とした工法開発と技術革新

 

グローバル生産技術統括本部 滋賀分室

日本電産グループの生産技術、要素技術の横串機能及び各種金型設計・製作、塑性加工、精密加工を主とした工法開発と技術革新

 

中央モータ基礎技術研究所

  1. グローバル成長のエンジンとして、基礎的な研究開発力と、付加価値の高い製品を生み出す応用技術力を強化する。
  2. 国内外のグループ会社との技術シナジーを引き起こすためのハブを担う。
  3. 研究活動を通じて、高いレベルの研究者や技術者を養成する。

 

長野技術開発センター

HDD用モータ、DCモータ製品群の開発・先行開発、及び生産拠点への支援業務

 

滋賀技術開発センター

精密小型モータ、ファンモータ、車載、家電・産業用モータの開発、生産技術開発、及び生産拠点への支援業務

 

その他営業所や国内生産拠点についてもHPに記載されているので、各自参照ください。

 

 

詳しい事業内容

[4]

モータ事業

FOBモータ(HDD用流体動圧軸受技術)、汎用モータ事業、家電・産業用モータ事業、車載用モータ事業、グループ会社モータ事業

 

機器装置事業

1,検査装置・計測装置

プリント基板検査装置、半導体パッケージ検査装置、ファンクションテスター・レーザートリミング装置、光学式・画像検査装置、タッチパネル・液晶・有機ELPDP検査装置、家電製品部品向け自動計測装置、自動車部品向け自動計測装置、画像検査装置、円筒内面欠陥検査装置、計測機器、検査・試験装置

 

2,自動化ユニット

産業用ロボット、カードリーダ、高速自動プレス、巻線機、塗布機・ディスペンサ、塗装・乾燥装置、小型プレス

 

3,制御装置

減速機・変速機・電動機器、モーションコントローラ、ドライバ

 

4,マーキング装置

昇華型プリンタ、レーザーマーカー

 

5,光学装置

3Dスキャナ

 

電子・光学部品事業

1,機構系

プラスチック成型品、高精度歯車、精密部品・金型、ボールネジ

 

2,工学系

カメラ用シャッター/レンズユニット、魚眼レンズユニット

 

3,センサ

エンコーダ、ポテンショメータ、電流・圧力・漏液センサ

 

4,電子系

トリマポテンショメータ、スイッチ、スリップリング

 

その他事業

1,自動車用部品

コントロールバルブ、電動オイルポンプ、電磁弁(ソレノイドバルブ)、スプールバルブ、ハーネスモジュール

 

2,HDD用部品

ベースプレート、トップカバー

 

3,その他

オルゴール、サービス、工芸機器(陶芸)

 

 

業績

2018年度(2019年3月期)

売上高

 

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営業利益率

 

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車載及び家電・商業・産業用

 

 

 

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機器装置



 

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電子・光学部品

 

 

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その他

 

 

営業業績の分析

[5]2018年度(平成30年度)の世界経済は、米国景気は堅調ながらグローバルな景気減速懸念を背景にFRBが2019年中の利上げを見送る見通しに転じました。中国については年央から地方政府に対する金融引き締めの影響が出てきたことと米中貿易摩擦への懸念から景気減速が一時的に加速化するなど、グローバルに大きな影響を与えています。今年に入り中国政府の景気対策もあり、景況感を示す経済指標が改善し、また米中貿易協議の進展も期待されています。一方、中国の景気減速により欧州は景気減速が続いております。日本経済も同様に日銀短観における大企業・製造業の景況感が悪化する等、中国の景気減速の企業業績への影響が出てきています。このような状況下、当社グループは「Vision2020」で掲げる2020年度売上高2兆円、営業利益3,000億円の達成に向け、利益ある成長戦略を推進しており、当期の売上高は過去最高を更新致しました。

 

 

 

向先地域別売上高

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地域別売上

売上比率に関しては85 %が海外となる。

 

成長性

経済的動向

[5]世界経済の動向は、堅調な米国景気持続への期待感がある一方で、今後の中国の景気回復動向や英国の欧州連合離脱問題、中東の地政学リスク等への懸念もあることから、引き続き楽観できない状況が見込まれます。

 

このような状況下、日本電産グループは2020年度をターゲットとするVision2020に掲げた目標の実現に向け、邁進してまいります。

 

 

現時点の2019年度の業績見通しは、為替水準を1US$=105円、1ユーロ=125円を前提に以下のとおりと致しました。

 

*2019年度連結通期業績見通し売上高1,650,000百万円(対前期比108.7%)

営業利益175,000百万円(対前期比126.2%)

税引前当期利益170,000百万円(対前期比122.3%)

親会社の所有者に帰属する当期利益135,000百万円(対前期比121.8%)

 

(第2四半期連結累計期間業績見通し)

売上高750,000百万円(対前年同四半期比96.5%)

営業利益75,000百万円(対前年同四半期比76.4%)

税引前四半期利益73,000百万円(対前年同四半期比74.3%)

親会社の所有者に帰属する四半期利益57,000百万円(対前年同四半期比72.6%)

 

 

研究費割合

 

研究開発費については、まとめられていたwebサイトを参照する。

 

[6]2020年度にも研究開発費を18年比80 %に引き上げる。ただし、2019年3月期(2018年度)有価証券報告書[7]より、前年度の研究開発費は18年比約12 %増の629 億円となっている。

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研究開発費(日刊工業新聞)



円高による営業利益の減少、積極的なM&A及び米中貿易戦争による世界的な販売の不振により、今後の研究開発費がどうなるのかはわからないが、個人的には1,000億円まで突然増えることは考えにくい。

 

個人的考察

成長性について

中期戦略目標「Vision 2020」

中期戦略目標についてまず述べる。

[8]2015年4月に発表した中期戦略目標では、自律成長とM&Aを基軸に、2020年度売上高2兆円、営業利益率15%以上、株主資本純利益率(ROE)18%以上を目指していきます。また、経営管理体制の更なる強化を図るため、中国・アジア・米州・欧州(含む中東・アフリカ)にそれぞれ地域統括会社を設置し、グローバル5極経営管理体制を確立します。経営品質・経営効率の向上、PMI( 買収後の統合)の積極的なサポートを行い、経営基盤をより強固にした上で新中期戦略目標の達成を目指します。

 

この2020年度売上高2兆円は2018年度の売上1兆5,000億円に対して33 %の売上増ということになる。営業利益についても現在の9.1 %から5 %以上の増加となる。

 

世界経済の減速が見込まれる中、この数値は非常に難しいと思われる。

 

重要事業について

重要事業に関してはおよそ10年前から大きく変わっていることがわかる。

日本電産では主にHDD用小型モータの製造が主力でした。

 

現在ではご存じの通りHDDからSSDへと普及が進んでおり、SSDには小型モータも必要がないため、事業の改変が進んでいたというのが背景にある。

もちろん大データ化により、クラウドサービスなどを提供している場合にはSSDよりもHDDが使われるため、現在も主力産業であることには変わりはないが、成長産業ではないと思われる。

 

そこで事業の転換として車載向けの製品に注力している。以前から車載向けの製品は存在していたが、機械系や油圧系の部品が主力となっていた。

 

現在のEV化に伴い電装品に対する投資を積極的に行っている。

特に今後の主力となるのがEV用車載モータである。

 

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[9]引用

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[9]引用

 

世界シェアについて

世界シェア1位の部品についても資料があったので、簡単に紹介します。やはり小型モータについては非常に強みがあることがわかる。

 

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[9]引用

 

 

参考文献

[1]プロフィール 永守 重信

[2] コーポレート・スローガン | 日本電産株式会社 - Nidec Corporation

[3] 国内研究開発拠点 | 日本電産株式会社 - Nidec Corporation

[4] 事業概要 | 日本電産株式会社 - Nidec Corporation

[5]2019年3月期決算短信

https://www.nidec.com/~/media/nidec-com/ir/library/earnings/archive/pdf/2019/Q4_3.pdf

[6] 日本電産、20年度の開発費1000億円の大台へ。何に使う?

[7] 2019年3月期有価証券報告書

https://www.nidec.com/~/media/nidec-com/ir/library/reports/archive/pdf/FY18Q4.pdf

[8] 日本電産の成長戦略 | 日本電産株式会社 - Nidec Corporation

[9]日本電産成長戦略パワーポイント

https://www.nidec.com/-/media/nidec-com/ir/library/presentation/pdf/2018/180312.pdf?la=ja-JP