てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

キーエンスの企業研究(2019年3月期)

株式会社キーエンスの企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

 

f:id:useful_info7823:20190729101055j:plain

キーエンス(HPより)

 

代表取締役

氏名

山本 晃則

 

経歴

[1]1987年(昭和62年)立命館大学理工学部卒業。キーエンス入社。

2004年(平成16年)3月 FIGNA事業部長

2009年(平成21年)6月 取締役事業推進部長兼MECT事業部長

2010年(平成22年)12月 代表取締役社長

 

代表メッセージ

[2]より3点引用

  1. さらなる「付加価値の創造」を目指して
  2. 経営にとって当たり前のことを当たり前に実践する
  3. 海外事業の展開を加速したい

企業理念

[3]より3点引用

  1. 最小の資本と人で最大の付加価値をあげる
  2. 「目的意識」を持って主体的に行動する
  3. 「市場原理・経済原則」で考える

 

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年

1974年5月27日

資本金

306億3,754万円

株式上場

東京証券取引所市場第一部上場

事業拠点

国内拠点については[4]参照ください。

本社兼研究所は大阪にあり、もう一つ研究所が東京にもあります。

事業所はさらに3つあります。

 

海外拠点[5]はさらに大きく、45か国200拠点にまで広がります。

 

 

詳しい事業内容

キーエンスの場合は電子応用機器の単一セグメントです。

[6]製品群として、センサ/判別変位センサ、変位計/寸法測定器、測定器/投影機/三次元測定、安全機器、流量センサ/圧力センサ、データロガー/記録計、静電気/クリーン、画像処理装置/画像センサ、PLC/タッチパネル、レーザマーカ/産業用インクジェット、マイクロスコープ/顕微鏡/形状測定、バーコード/ハンディターミナルがあげられます。

業績

2018年度(2019年3月期)

セグメント分けがないため、連結売上高と営業利益率のグラフのみ示します。

 

売上高、営業利益率

 

f:id:useful_info7823:20190729101405p:plain

営業業績の分析

[7]当連結会計年度の世界経済は、一部の地域で弱さがみられましたが、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。アジア地域では、一部の地域で輸出や生産の減少がみられました。欧州では生産に弱い動きがありましたが、消費や設備投資は緩やかに増加しました。国内においては輸出や生産の一部の弱さも見られましたが、緩やかに回復しました。

こうしたなか、当社グループといたしましては中長期的な成長を維持する観点からも、企画開発面での充実、営業面での強化を図ってまいりました。企画開発では、マルチカラー同軸変位計やカメラ内蔵レーザ変位センサ等の新商品の開発を行い、営業面では、人材の充実や海外販売体制の強化を図ってまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は576,095百万円(前年同期比11.4%増)、営業利益は317,868百万円(同8.5%増)、経営利益は319,860百万円(同7%増)、親会社株式に帰属する当期純利益226,147百万円(同7.4%増)となりました。

 

 

 

向先地域別売上高

[7]海外売上比率を抜粋しました。

海外の売上高こそありましたが、内訳は全くありませんでした。

今までいろいろ研究してきて初めてです...。

 

 

 

成長性

経済的動向

[7]今後の世界経済につきましては、通商問題の動向、各国経済の先行き、政策に関する不確実性、金融資本市場の変動等によるリスクに留意する必要がありますが、全体としては緩やかな回復が続くことが期待されます。

 

研究費割合

[8]当連結会計年度における主な成果としては、超高輝度マルチカラー光源を採用し、広い測定範囲と高精度な測定を実現したマルチカラーレーザ同軸変位計を開発。対象物の材質に左右されず、透明、鏡面、金属粗面、セラミックや樹脂、接着剤などの液体においても高精度で正確な測定を実現。これまで諦めていた狭い場所でのセンサヘッドの並列設置やロボットへの搭載が可能になりました。

さらに、新方式であるドライブスキャンシステムを搭載したカメラ内蔵レーザ変位センサを開発するなど、製造現場の生産性や品質向上に貢献する商品の開発にも注力しました。

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は19,528百万円となりました。

 

 

2018年度の研究開発費は上記のとおり19,528百万円で売上高の3.3%である。

 

[9]一方、キーエンスは顧客の現場で生の声を聞きながら問題点を探り、解決案を探っていくため、研究開発に膨大なコストはかかりません。2015年3月期の研究開発費は売上の3%程度に止まっています。また、直接販売のため販売代理店への販売手数料といったコストがかかりません。一般消費者向けの商品を作っている訳ではないため、広告宣伝費もかかりません。例に挙げた企業と比べて、キーエンスが開発費や売出費をかけなくても済むのは直接販売による恩恵と言えます。キーエンスの販売費および一般管理費では、役員および社員の人件費と研究開発費が全体の6割以上を占め、それ以外に目立って大きな費目はないのです。

 

この理由については後ほど考察します。

 

個人的考察

成長性について

FAに関しての考察はファナック安川電機の企業研究で述べているのでそちらを参考にしてください。

個人的には今後かなり強い分野であり、且つ日系企業のシェアが非常に大きいです。

 

 

www.tecchan.tokyo

 

 

www.tecchan.tokyo

 

超高営業利益率

まず、営業利益率から考察しましょう。

2019年3月期の営業利益率は54.6%に上ります。日系電機メーカーの営業利益率が10 %あれば優良企業とされるなか50%越えは異常といっていい数値です。

 

キーエンスはどうやら営業体系に大きな違いがあるらしい。一般的に企業はマーカーと顧客の間に卸売業や小売業を介在させて取引を行うが、キーエンスの場合はすべての顧客に直接販売を行っている。この営業体制が高営業利益率につながっている。

 

[11]そしてもう一つがコンサルティング営業である。

 

コンサルティング営業とは

お客様の課題解決手段として商品をご提案させていただきます。例えば工場の〇〇という点に問題がある、なのでキーエンスのこの商品を使って解決しましょうというご提案をさせていただきます。

 

そして顧客の求めるアイディアを持ち帰りフィードバックし、製品を開発するというサイクルが高効率を生み出している。

 

また、ホームページに書かれている70%の製品が業界初であるということですが、業界初の製品は卸売業を通すより、社員が説明した方が伝わるということから始まった。

[10]つまり、前例のない商品は直接価値を説明しないと伝わらないからである。

 

 

ファブレス経営について

キーエンスのもう一つの特徴はファブレス経営です。ファブレス経営とは自社で工場を持たずに生産を外注して製品を販売する形態のことである。

 

[12]一様にファブレス経営だから高営業利益であるとは言えない。例えば生産管理のしにくさといったデメリットもあるから。

ただ、Appleも設計開発など高付加価値を生み出す業務をアメリカで行い、生産を人件費の安い中国で行うことで高営業利益率を生み出している。

 

キーエンスの場合は生産のすべてを子会社に外注することで設計開発などに高付加価値を載せている。

 

時事問題

[13]2019年第一四半期の決算が2日前(2018/7/26)に発表されました。

やはり、米中貿易摩擦の影響から中国内の設備投資に陰りが出ています。売上高は6%減で営業利益は15%減となっている。

 

参考文献

[1]山本 晃則 - Webcat Plus

[2] 社長メッセージ | 会社情報 | キーエンス

[3] 企業理念 | キーエンスについて | 新卒採用 | 株式会社キーエンス

[4] 国内拠点 | 会社情報 | キーエンス

[5] 海外拠点 | 会社情報 | キーエンス

[6] キーエンスの商品群|キーエンスグループについて|キーエンスエンジニアリング株式会社

[7] https://www.keyence.co.jp/company/outline/results.jsp

2019年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)

[8] https://www.keyence.co.jp/company/outline/securitiesreport.jsp

有価証券報告書第50期(2018年3月21日-2019年3月20日)

[9] 「日本一高い給料」を支払える会社キーエンス。高収益の秘密とは? | (3/4) | PRESIDENT WOMAN | “女性リーダーをつくる”

[10] 平均年収1位常連キーエンスの凄みは、営業利益率50%を生むニーズ先取り開発にあり | LabBase

[11] 「営業利益率53%」の裏側〜ハイパフォーマンス企業キーエンスの魅力

[12] ファブレス経営とは? 意味、業界・業種、メリット・デメリットについて【代表的なファブレスメーカーの例】 - カオナビ人事用語集

[13] キーエンス9年ぶり最終減益 4~6月、センサー低迷 :日本経済新聞