てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

TDK株式会社の企業研究(2019年3月期)

TDK株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

 

 

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企業ロゴ(HP)

 

代表取締役

氏名

石黒 成直

 

経歴

[1]参照。

1982年1月 当社入社

2002年4月 当社レコーディングメディア&ソリューションズビジネスグループ 欧州営業部 経営企画担当部長

2004年7月 当社ヘッドビジネスグループ HDDヘッドビジネスディビジョン 日本オペレーション 企画グループ リーダー

2007年4月 当社ヘッドビジネスグループ HDDヘッドビジネスディビジョン 日本オペレーション リーダー

2011年4月 当社ヘッドビジネスグループ デピュティゼネラルマネージャー

2012年6月 当社ヘッドビジネスグループ ゼネラルマネージャー

2014年6月 当社執行役員

2015年4月 当社磁気ヘッド&センサビジネスカンパニー CEO

2015年6月 当社常務執行役員

2016年6月 当社代表取締役社長 兼 当社加湿器対策本部長(現任)

当社生産本部長

 

代表メッセージ

[2]成長市場へ価値のある製品を提供して、エレクトロニクスの未来と社会の発展に貢献します。

 

企業理念

[3]引用。

社是

創造によって文化産業に貢献する

社訓

夢 : 常に夢を持って前進しよう。夢のないところに、創造と建設は生まれない。

勇気 : 常に勇気をもって実行しよう。実行力は矛盾と対決し、それを克服するところから生まれる。

信頼 : 常に信頼を得るように心がけよう。信頼は誠実と奉仕の精神から生まれる。

 

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年

1935年12月7日

資本金

32,641,976,312円(2019年3月末)

株式公開

129,590,659株(2019年3月末)

事業拠点

事業拠点は[5]参照。

多くの企業同様で、研究開発拠点、生産拠点などの判別はできるものの、部署ごとまではわからない。

各々で希望業種と拠点を直接把握しなければならないであろう。

 

詳しい事業内容

受動部品

セラミックコンデンサアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクティブデバイス(コイル、フェライトコア、トランス)、高周波部品、圧電材料部品、回路保護部品

 

センサ応用製品

温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサ(微小電気機械システム)

 

磁気応用製品

HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、マグネット

 

エナジー応用製品

エナジーバイス(二次電池)、電源

 

その他

メカトロニクス(製造設備)等

 

 

業績

2018年度(2019年3月期)

売上高

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営業利益率

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年間の連結売上は右肩上がりです。村田製作所同様に部品メーカーは中国製の携帯の普及に伴って売り上げを伸ばしています。

受動部品

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受動部品事業

2016年から2017年にかけてはセグメントの名前は同じですが、構成する部品が変わっているため、厳密には表にするべきではないと思いましたが、色を変えて併記しました。

2016年以前はセンサ応用製品に関して受動部品として構成されていましたが、2017年より、管理区分が変更となりました。

 

[6]当セグメントは、①コンデンサ ②インダクティブデバイス ③その他受動部品 で構成され、売上高は、4,334 億 6 百万円(前期 4,177 億 57 百万円、前期比 3.7%増)となりました。 コンデンサは、セラミックコンデンサアルミ電解コンデンサ及びフィルムコンデンサから構成され、売上高は、1,733 億 31 百万円(前期 1,569 億 90 百万円、前期比 10.4%増)となりました。セラミックコンデンサの販売は、主に自動車市場向けが増加しました。アルミ電解コンデンサ及びフィルムコンデンサの販売は、自動車市場及び産業機器市場向けが増加しました。 インダクティブデバイスの売上高は、1,586 億 39 百万円(前期 1,575 億 29 百万円、前期比 0.7%増)となりました。自動車市場及びICT市場向けの販売は増加したものの、産業機器市場向けの販売は減少しました。 その他受動部品は、高周波部品及び圧電材料部品・回路保護部品で構成されており、売上高は、1,014億 36 百万円(前期 1,032 億 38 百万円、前期比 1.7%減)となりました。主にICT市場向けが減少しました。

 

センサ応用製品

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センサ応用製品

2017年から受動部品事業から分離した事業である。

[6]当セグメントは、温度・圧力センサ、磁気センサ、MEMSセンサで構成され、売上高は、764 億 67 百万円(前期 773 億 55 百万円、前期比 1.1%減)となりました。自動車市場向けの販売は増加したものの、ICT市場及び産業機器市場向けの販売は減少しました。

 

磁気応用製品セグメント

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磁気応用製品セグメント

[6]セグメントは、HDD用ヘッド、HDD用サスペンション、マグネットで構成され、売上高は、2,728億 7 百万円(前期 2,775 億 48 百万円、前期比 1.7%減)となりました。HDD用ヘッド及びHDD用サスペンションは、ICT市場向けが減少しました。マグネットは産業機器市場向けの販売が減少しました。

 

エナジー応用製品セグメント

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エナジー応用製品

[7]従来の「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」および「フィルム応用製品」の4つの報告セグメントが、2019年3月期より「受動部品」、「センサ応用製品」、「磁気応用製品」および「エナジー応用製品」に変更となりました。これらの報告セグメントとそれらに属さない「その他」に分類されます。

 

[6]当セグメントは、エナジーバイス二次電池)、電源で構成され、売上高は、5,375 億 2 百万円(前期4,428 億 22 百万円、前期比 21.4%増)となりました。エナジーバイスの販売は、ICT市場向けが大幅に増加しました。

 

営業業績の分析

[6]当期における世界経済は、上半期までは消費、生産、輸出に支えられ総じて堅調に推移したものの、下半期に入り、米中貿易摩擦問題の顕在化等により、中国経済の減速や欧州の政治問題などによる景気への影響は避けられず、今後の先行きにおける不透明感が強まりました。

当社の連結業績に影響を与えるエレクトロニクス市場を概観しますと、自動車市場において、中国市場での販売不振やWLTP(国際調和排出ガス・燃費試験法)の導入等の影響で、自動車販売台数は前期比で減少しましたが、電装化の進展により部品搭載点数は増加の傾向が続いております。ICT(情報通信技術)市場では、スマートフォンの買い替えサイクルの長期化の影響等により、生産台数が前期の水準を若干下回りました。HDD(ハードディスクドライブ)の生産は前期比で減少しましたが、そのうちデータセンター向けHDDの生産は増加しました。

 

 

向先地域別売上高

 

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向先地域別売上[6]

海外売上比率は表からもわかる通り、9割が海外売り上げ、7割がアジアでの売上である。

 

 

成長性

経済的動向

 

[6]エレクトロニクス市場は、中長期的には電子部品需要の拡大が見込まれますが、短期的には米中貿易摩擦中国経済の減速や Brexit 等の欧州政治リスクなどマクロ経済への影響が避けられず、景気の減速傾向が強まっております。このような市場環境においても、顧客基盤やアプリケーション基盤の拡大により重点事業の着実な成長を図るとともに、景気に左右されない収益改善策を確実に実行することにより全社の収益性体質を強化してまいります。また、中長期的な成長を見据え、重点事業の競争力強化を目指し、継続的な設備投資を実行してまいります。 中期経営計画では、当社グループの社会的価値向上を最重要課題の一つと捉えておりますが、その取り組みを強化するため、サステナビリティ推進本部を新設しました。SDGs(2015 年国連サミットで採択された17 の持続可能な開発目標)をフレームワークにした事業への取り組みも強化し、持続可能な企業活動で社会に貢献し、さらなる成長を実現する企業を目指してまいります。

 

研究費割合

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財務状況[8]

設備投資は対売上比率でおよそ12.5 %と比較的高い水準である。部品メーカーは(村田製作所など)需要の拡大によって生産量を増やしており、18年19年と村田製作所も3,000億円近く設備投資を行っている。

つまり、生産規模、売り上げとも長期的には拡大基調であることがわかる。

 

研究開発費も8 %と大手メーカーと比較すると大きな規模であることがわかる。

 

個人的考察

成長性について

部品メーカーは今後の成長に関しては、大きいと考えている。考察に関してはほとんど村田製作所の考察と同じであるので、そちらをご覧ください。

一点だけ海外売上比率について考察します。

 

海外売上比率についての考察

海外売上に関して、電子コンポーネントは圧倒的にアジア圏で消費されている。これは単純に携帯端末の生産拠点が中国や韓国に集中していることからも間違いないであろう。

携帯のシェアも、サムスン、ファーウェイ、アップルがtop3でアップルも生産拠点は中国である。

 

リコーは部品メーカーの中では非常にバランスの取れた海外売上比率となっており、これは村田、TDKと比較すると製品ラインナップによる違いで自動車部品などは欧州に需要があることなどからであると考える。

 

つまり、電子部品を主に扱うメーカーは中国での売上による依存が大きく、現在の米中貿易摩擦の影響をもろに受けることになる。

中国内で生産を行う企業がベトナムなどの新興国に移転のニュースも最近はよく見られるため、今後の業績の不確定要素は多く含んでいる。

 

村田製作所企業研究

 

www.tecchan.tokyo

 京セラ企業研究

 

www.tecchan.tokyo

 

 

参考文献

[1] https://www.jp.tdk.com/corp/ja/about_tdk/executive_lineup/shigenao_ishiguro.htm

[2] ご挨拶 | TDKについて | TDK株式会社

[3] 第1章 企業行動憲章 | 企業倫理綱領 | TDKについて | TDK株式会社

[4] 概要 | TDKについて | TDK株式会社

[5] TDKネットワーク | TDKについて | TDK株式会社

[6] https://www.jp.tdk.com/ir/ir_library/financial/pdf/2019052200_s1tu16wt.pdf

[7] https://www.jp.tdk.com/ir/ir_library/annual/pdf/2018_all_v2.pdf

[8]https://www.jp.tdk.com/corp/ja/ir/financial_information/capex/index.htm