てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

株式会社村田製作所の企業研究[2019年]

株式会社村田製作所の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

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村田製作所公式ロゴ

 

 

代表取締役

氏名

村田 恒夫

経歴

1974(?)年 同志社大学経済学部卒業

1974年3月    当社入社

1989年6月    当社取締役

1991年6月    当社常務取締役

1995年6月    当社専務取締役

2003年6月    当社取締役副社長

当社代表取締役(現任)

2007年6月    当社取締役社長

2010年12月   公益財団法人 村田学術振興財団 理事長(現任)

2017年6月    当社取締役会長兼社長(現任)

代表メッセージ

[1]引用

どんな時代にも、お客様に、社会に必要とされる存在であり続け、エレクトロニクスが実現する未来の発展に貢献する。

企業理念

[2]引用

"Innovator in Electronics"は、国内外のムラタグループ社員全員が共有するスローガンで、新市場、新商品、事業領域を拓いていくための理念でもあります。

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年(創業年)

1950年(1944年)

資本金

694億44百万円 (2019年3月31日現在)

株式公開

675,814千株 (2019年4月1日現在)

事業拠点

[3]参照

拠点ごとに業務内容も示されています。

 

 

詳しい事業内容

[4]財務上のセグメントはその他を含めて3つに分かれます。

コンポーネント:コンデンサ圧電製品リチウムイオン電池

モジュール:通信モジュール電源など

その他:機器製作、従業員の福利厚生、ソフトウェアの販売など

 

コンデンサ

スマートフォンなどの通信機器向けでは超小型品や小型大容量のコンデンサが、カーエレクトロニクス分野では自動車の電装化の進展で高信頼性のコンデンサが、さらに需要を拡大しており、ムラタの強みが発揮されています。

 

圧電製品

スマートフォンのマルチバンド化にともない表面波フィルタの需要が伸びているほか、自動車の運転支援用途で超音波センサに対する需要が増えています。

 

通信モジュール

スマートフォンの通信速度の高速化、多機能化、マルチバンド化で端末1台あたりの部品点数が増加しています。RF部の占有面積の削減や通信回路スペースの効率的な使用などを目的にモジュール化 (部品の集積化) の動きが進んでおり、今後も需要拡大が期待できます。

 

電源他モジュール

エネルギー、データセンターやサーバー用の電源として、さらに需要拡大が期待できます。

 

その他コンポーネント

スマートフォン向けの高周波コイルやメタルコイル、カーエレクトロニクス向けのEMI除去フィルタや横滑り防止装置に使われるMEMSセンサなどが、今後も拡大する見込みです。

 

業績

2017年度(2018年3月期)

売上高

 

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営業利益率

 

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コンポーネント事業

[5]引用

コンポーネント事業

コンデンサ

主力の積層セラミックコンデンサについて、カーエレクトロニクス向けで伝送化の進展を受け堅調に推移したほか、中華圏スマートフィン向けやコンピュータ及び関連機器向けなど幅広い用途で拡大し、大幅に増加。

 

圧電製品

表面はフィルタにおいて、スマートフィン向けで高付加価値品の数量減少や値下げの進展により、減少しました。

 

その他コンポーネント

高周波コイルがハイエンドスマートフォン向けで低調でしたが、カーエレクトロニクス向けでMEMSセンサが続伸したほか、2017年9月に取得が完了したリチウムイオン二次電池の売上が計上されたことから、大きく増加しました。

[5]引用

モジュール事業

通信モジュール

樹脂多層基板がハイエンドスマートフォンの新モデルの採用により大きく新調したほか、通信機器用モジュールにおいても増加しました。

 

電源他モジュール

電源がOA機器向けなどで減少しました。

 

営業業績の分析

[5]引用

世界の経済情勢は、米国では継続した雇用拡大や、個人所得の改善を受け経済は堅調に推移しました。その一方で、中国は米国との貿易摩擦の影響が鮮明になり、欧州は経済が軟化する中で政治不安も抱えており、年度の終わりにかけて世界経済の減速傾向が強まってきました。

当社が属するエレクトロニクス市場は、カーエレクトロニクス向けで自動車の環境対応や安全性の向上により、電装品の搭載数が増加し部品需要が拡大しました。また、スマートフォンやPCの高機能化による1台当たりの部品数増加など、第三四半期までは様々な用途においてコンポーネント部品を中心に需要が拡大しましたが、第四四半期はスマートフォンの台数減少もあり、部品需要に陰りが見られました。

 

 

 

向先地域別売上高

向井先地域別売上は9割が海外です。携帯端末の生産が多いアジア圏に集中しています。

 

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向井先売上(HPより)

成長性

経済的動向

[5]引用

次期の世界の経済情勢は、米中貿易摩擦の着地が見えない中で、他国においても保護貿易主義的な動きが鮮明になりつつあり、世界経済の先行きの不透明感が増しています。

エレクトロニクス市場においては、中期的には通信市場における5G(第五世代移動通信システム)導入、自動車の電装化の進展などにより、電子部品需要が拡大する見通しは変わらないものの、短期的には市場における電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整もあり、時期の前半は需要に勢いが欠けると予想されます。

 

研究費割合

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研究開発費(HPより)

研究開発費は毎年およそ売上の6から7%を推移しています。売り上げが伸びているため、相対的に研究開発費も伸びていることがわかります。

[6]また、設備投資ですが、2018年度及び2019年度は3,000億円ちかく設備投資をしています。特に積層セラミックコンデンサの生産は年間10 %ずつ伸ばしていたが、それでも生産が追い付いていない状況である。また、今後電気自動車や5G関連機器の拡大によって需要は右肩上がりになることから、新たに工場を国内2拠点(福井県島根県)に建設中。

 

個人的考察

成長性について

成長性について個人的考察をすると、日経部品メーカーの将来性は他の大手総合電機メーカーと比較すると明るいのではないかと考えている。

 

もちろん米中貿易摩擦によるファーウェイ排除など多くのリスクも含んではいるが、部品業界全体の市場規模が拡大している中で需要が減衰していくとは考えにくい。

 

[7]引用

電子情報産業(①薄型テレビや映像記録再生機器、撮像機器などで構成される電子機器群。②電子部品や半導体などの電子デバイス。③IoTなどデジタルビジネス推進のためのSI開発、ソフトウェア、アウトソーシングなどの再ビス事業であるソリューションサービス。)の世界生産額は17年度比8%増の2兆9345億ドルで過去最高の更新が見込まれている。

このうち部品メーカーは②に該当する。

電子部品の世界生産額は25兆3962億円でこの内、日系企業は38%を占める。

 

世界市場においては、車の環境対応や自動運転システムにより電子部品搭載数は増加する。さらに高機能スマートフォンの市場参入により、対応部品も高水準で推移する。これに加え、第5世代通信システム(5G)の導入に伴い、基地局やデータセンターでの需要増も含め19年も引き続き好調をキープする見通し。

 

今回は2点(携帯市場、電気自動車市場)を考察する。

 

携帯市場

携帯市場は2018年後半から不振がたびたび報道されていた。こればスマホ産業がすでに成熟市場へとなりつつあるからである。2018年のスマートフォンの利用率は日本では7割を超えた。

[8]世界でも利用率は見つけられなかったが、全出荷台数は2年連続で減少。減少率は4.1%にもなる。

 

[9] 調査結果によると、スマートフォン市場は先進国で成長率が鈍化し、中国も普及が一段落。今後は中国を除くその他のアジア地域や中東、中南米、アフリカなどの市場で需要拡大を期待できるが、全体では年率2%と低調な伸びと予測した。

これらの状況から、スマートフォン市場は2017年の14億1200万台に対し、2022年は15億9000万台と予測。このうち、5G対応機は3億1000万台を見込む。スマートフォン全体に占める5G対応機の比率は19.5%となる。一方、フィーチャーフォンは2017年の2億8400万台に対し、2022年には1億1800万台に減少するが、一定の需要は残存すると予測した。

 

 

すでに成長産業ではなくなっているが引き続き新興国での需要拡大で堅調な伸びが期待できる。

 

電気自動車市場

電気自動車市場はこれからの成長市場でほぼ間違いないだろう。環境問題における内燃機構エンジンから電気自動車へのシフトや自動運転技術など、本格的な導入は始まったばかりである。

[11]たとえば、日本の電気自動車の普及率は2016年で0.1%しかない。

 

[10] 車載電装システムの世界市場は、2017年に21兆863億円を見込む。内訳はパワートレイン系システムが7兆6129億円、走行安全系システムが4兆7767億円、HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系システムは1兆9154億円である。

 

 2025年の市場規模は、35兆404億円と予測する。大幅伸長が予測されているHV/PHVシステムやEV/FCVシステムの他、アイドリングストップ/回生システム、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムなどの品目が、2016年から2025年までの年平均成長率で10%を上回るとみている。

 

 

ただし、電気自動車市場は空振りになるという記事も存在する。

[12]記事を要約すると、電気自動車の普及に伴い、最も問題となるのが電力不足である。日本国内でいっても約4000万台が電気自動車にシフトした場合、日本の総電力の30%を使用することになる。

つまり、電力の発電環境が十分に整っていない状態で電気自動車の普及は伸びないのではないかということである。

もう少し調べてみると、[13]オーストラリアなど8割の電力を石炭による火力発電に依存している場合、CO2の排出力は電気自動車のほうがガソリン車よりも多くなる。

日本の場合、電力の7割を火力で賄っているため、必ずしも電気自動車が環境問題上優位であるとは言えないらしい。(走行距離に依存する。詳しくは参考文献参照。)

 

つまり、木を見て森を見ずということ。末端の利用者がCO2の排出を抑えていても発電方式が火力に依存していては問題解決にはならないのである。

 

 

まとめ

最後のほうは少し本質とずれてしまったが、いい勉強になりました。一概に安泰化といえばどの業界もそうとは言えないことがわかりました。

 

 

参考文献

[1] トップメッセージ | 村田製作所

[2] 理念 | 村田製作所

[3] 拠点一覧 | 村田製作所

[4] 事業 | 村田製作所

[5]決算短信 https://www.murata.com/~/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2019/0426/18q4_j_fls.ashx?la=ja-jp 

[6] 【村田製作所】自動車で急増する電子部品、隣り合わせの設備急増リスク | 財務で会社を読む | ダイヤモンド・オンライン

[7] 19年電子情報産業は好調継続~半導体とともに電子部品需要も増大~ | LIMO | くらしとお金の経済メディア

[8] 成熟スマホ市場、中国勢が伸長 18年出荷、2年連続減 :日本経済新聞

[9] 2022年のスマホ市場は約16億台、うち2割が5G対応に (1/2) - EE Times Japan

[10] 車載電装システム市場、2025年に35兆円規模へ (1/2) - EE Times Japan

[11] 日本における電気自動車のシェア!

[12] 世界で期待のEV、2030年の普及率は10%以下? 過熱する報道とは異なり、48Vのマイルドハイブリッドがエコカーの主流に | LIMO | くらしとお金の経済メディア

[13] 【環境ニュース】マツダ、エンジン車とEVのCO2排出量を比較すると(1/2ページ) - 産経ニュース