てっちゃんdaily

都内国立大学院理系1年生。留学体験や就職活動に向けた企業研究、株式投資など投稿していきます。

富士通株式会社の企業研究(2018年度)

富士通株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。

では、よろしくお願いします。

 

 

代表取締役

氏名

田中 達也

経歴

東京理科大学工学部卒

1980年 4月   当社入社

2005年 4月   富士通(中国)信息系統有限公司 董事兼副総経理

2009年 12月  当社産業ビジネス本部長代理(グローバルビジネス担当)

2012年 4月   執行役員

2014年 4月   執行役員常務

2015年 1月   執行役員副社長

2015年 6月   代表取締役社長 (現在に至る)

役員一覧 代表取締役社長 田中 達也 - 富士通

代表メッセージ

HP(社長メッセージ - 富士通)より一部抜粋

富士通は「テクノロジーを通じて人を幸せにする」という基準をしっかりと持ち続けます。テクノロジーが大きな力を持つ時代だからこそ、人の幸せを第一に考えることが、ますます重要になると思っています。富士通は、これからも常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供してまいります。

追記

時田隆仁副社長が6月24日付で社長に昇格する。[4]

企業理念

HP(富士通の企業理念について説明しています - 富士通)より一部抜粋

富士通グループは、常に変革に挑戦し続け快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供します。

富士通グループのDNA

「夢をかたちに」

富士通は、人類の夢を、顧客の夢を、そして富士通の夢をも実現すべき、思考と創造の場であります。(1989年 入社式社長挨拶 山本卓眞 第九代社長)

社会、企業、家族と個人をつなぐ、豊かなネットワーク社会の形成に貢献していきたいと思います。 
(1999年 創立記念日社長挨拶 秋草直之 第十一代社長)

 

設立年・資本金・株式公開・事業拠点

設立年

1935年6月20日

資本金

3,246億円

株式公開

2億700万1821株

事業拠点

拠点情報 - 富士通

 

 

詳しい事業内容

  1. テクノロジーソリューション

ITシステムのコンサルティング、設計、アプリケーション開発、実装などのインテグレーションを行うソリューション/SIと、ICTシステムをデータセンターなどでお預かりし、お客様に代わって一括運用管理を行うアウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービスを展開しています。

  1. ユビキタスソリューション

パソコン、携帯電話、モバイルウェアで構成されています。パソコンは高品質・高性能にこだわったデスクトップやノート、タブレットをグローバルに提供しています。携帯電話はフラッグシップモデルのスマートフォン「arrows NX」をはじめ、誰にでも使いやすい「らくらくホンシリーズ」などを提供しています。モバイルウェアは、スマートフォンと連携するなど、「ツナガル」製品で多様なニーズにお応えします。

  1. バイスソリューション

バイスソリューションは、LSI事業と電子部品事業から構成されています。LSI事業は、ウェハーファウンドリサービスやLSIの販売、FRAM・FCRAMなどのシステムメモリ事業を行っています。電子部品事業は、上場連結子会社である新光電気工業、富士通コンポーネント、FDKなどが半導体パッケージをはじめとする電子部品のほか、電池、リレー、コネクタなどの機構部品を提供しています。

業績

2017年度(2018年3月期)

売上高

 

  (単位:百万円)
  売上高(2017年度) 売上高(2018年度) 構成比(%) 前年比(%)
連結売上高 4,098,300 3,952,400 - 96.4
セグメント別 - - - -
テクノロジーソリューション 3,052,700 3,123,700 79.0 102.3
ユビキタスソリューション 663,900 509,900 12.9 76.8
バイスソリューション 560,000 487,000 12.3 87.0
その他/消去または全社 △ 178,200 △ 168,200 △ 4.3 94.4
営業利益率
  (単位:百万円)
  営業利益(2017年度) 営業利益(2018年度) 利益率(%) 前年比(%)
営業利益 182,400 130,200 3.3 71.4
セグメント別 - - - -
テクノロジーソリューション 189,300 187,900 6.0 99.3
ユビキタスソリューション 11,300 △ 20,400 △ 4.0 △ 180.5
バイスソリューション 13,600 4,500 0.9 33.1
その他/消去または全社 △ 32,800 △ 41,700 24.8 127.1
営業業績の分析

2018年度総合レポートより、引用。ただし、財務状況の分析に関しては2017年度の結果となっており、2018年度の状況については、後述する。

  1. テクノロジーソリューション(サービス)

ソリューション/SIは金融機関向け大規模プロジェクトおよび官公庁、自治体向けのマイナンバー関連案件が端環期を迎えたことに加え、前期に好調であったハード一体型ビジネスの反動減により、産業、流通が好調に推移するも全体をカバーしきれず減収。

インフラサービスはニフティ再編による約520億円の減収があったものの国内はアウトソーシングサービスを中心に売り上げが堅調で、円安効果もあり増収。

*ニフティ再編:2017年4月1日に行われた吸収分割。完全子会社化。

*アウトソーシング:システムの企画から構成運用管理まで一貫してサポートするワンストップソリューションのこと。

  1. テクノロジーソリューション(システムプラットフォーム)

システムプロダクトにおいて、前期に好調であったPCサーバーの売り上げが低調であったほか、ネットワークプロダクトにおいて、国内通信キャリアの携帯電話基地局への投資が想定以上に抑制された影響に加え、競争環境の厳しさが加速している影響もあり、大きく減収。

  1. ユビキタスソリューション

パソコンが国内の法人向け売り上げが伸長したほか、海外における厳しい競争環境の中、為替の円安効果もあり、増収。一方で、携帯電話がらくらくシリーズのフィーチャーフォンの出荷台数が大きく減少した影響で減収。

  1. バイスソリューション

スマートフォン向けを中心にLSIの需要が伸長したほか、LSI、電子部品共に円安の効果により増収。

2018年度の状況(2019年3月期)

2019年度総合レポートは2019年年末あたりに上がると思うので、とりあえずは2018年度決算概要より、引用。

  1. テクノロジーソリューション(サービス)

(ソリューション/SI)

公共分野が伸長したことに加え、前年好調に推移した製造、流通分野も引き続き成長を継続。

インフラサービスからのプロジェクト移管の影響約250億円を除いたベースで過去最高の売り上げ。(本記事には数値は未記載。2018年度決算概要p9参照ください。)

(インフラサービス)

国内は堅調に推移。海外は欧州を中心に低調に推移。

  1. テクノロジーソリューション(システムプラットフォーム)

(システムプロダクト)

IAサーバーが国内海外ともに堅調に推移したのに加え、ソフトウェアが増加。

(ネットワーク)

携帯基地局が低調に推移し、減収。

  1. ユビキタスソリューション

事業再編による減収影響は約-1600億円。携帯端末事業の再編と、個人向けPCが連続売り上げの対象外となった影響。再現影響を除くと、ほぼ前年並み。

  1. バイスソリューション

事業再編の影響、約-500億円それを除くと、約-4%の減収。

スマートフォン向けLSIの所要が低調に推移。

 

向先地域別売上高

2017年度の財務状況による結果になります。2018年度は数値のみ2018年決算概要のp26に上がっています。ただ、チャートはないことと事業再編による影響を抜くと大きく変わらないため、自作はしません。

 

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成長性

経済的動向

来年度(2019年度)の業績見通しが2018年度決算概要に出ていた。売り上げ収益についてはデバイス事業再編による約-2000億円が予想されているが、本業による売上および営業利益は程横ばい予想になっている。

研究比割合

研究開発費は以下の通りである。

2017年度で1,586億円(売上比3.9 %)

2018年度で1,349億円(売上比3.4 %)

個人的考察

成長性について

まず、知らなかったこととして、富士通はITサービスの国内シェアがトップだった。国際ランキングも7位と、テクノロジーソリューションに強みがあることが分かった。官公庁のシステムなども取り扱っており、安定性についてはインフラ整備による事業は非常に高いと考えられる。

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成長性に関しては、正直よくわからない。財務状況を見る限りでは海外比率をどこまで上げられるかになってくると思うが、どういった対策をしているのかなどは見つけられなかった。

 

時事問題

今の富士通の時事問題と言ったらリストラしかないかと思われる。[4]今回のリストラは事務部門の45歳以上を対象にした配置転換で、移動が難しい場合は退職金を上乗せした希望退職ということになる。このニュースは多くの日系企業にありうる話であるだけに特に注視するべき。まず、日本の働き方は終身雇用が基本であることは周知の事実である。つまり、給与や昇格は年功序列で上がっていく。反対にどんなに仕事ができても20代30代のうちは外資系企業と違い成果は給与に反映されにくい。そして、ようやく高給が得られる45歳から定年までの社員を配置転換と希望退職で実質リストラさせるということ。

ニュースや新聞では配置転換と希望退職なんて書いているが、いざ自分がこの当事者であったら、入社から20年以上働いてきた部署から突然何のノウハウもないITやプログラミングの部署に配置転換しろ。配置転換しないなら退職してくれ。ということである。会社に残るもいい年して足手まとい、去るならリストラ。次の仕事が簡単に見つかるとは思えないし、45歳で再就職して富士通と同等の給料がもらえることはほとんどないであろう。まさしく残るも地獄、去るも地獄だと思う。これが他の大手日系企業で起こらない保証はどこにもない。

就活生(私も)はこれについてはよく考えるべき。終身雇用で定年まで働ける保証はどこにもないし、個人がどのように社会で生き残っていくかも考えていかなければいけないということだと思う。

参考文献

[1]https://pr.fujitsu.com/jp/ir/integratedrep/2018/pdf/all.pdf

[2]https://pr.fujitsu.com/jp/ir/finance/2018/pdf/all.pdf

[3]https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20190426-01.pdf

[4]富士通社長に時田氏 リストラ一段落で若返り:朝日新聞デジタル

[5]富士通、2850人が早期退職へ 事務部門スリム化で:朝日新聞デジタル