ソニー株式会社の企業研究2019年3月
ソニー株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
吉田憲一郎
経歴
東京大学卒
昭和 58 年(1983 年) 4 月 ソニー株式会社 入社
昭和 63 年(1988 年) 6 月 ソニーネットワーク販売株式会社 出向
平成 2 年(1990 年) 6 月 ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカ 赴任
平成 6 年(1994 年) 4 月 ソニー株式会社 証券業務部
平成 9 年(1997 年) 10 月 財務部
平成 10 年(1998 年) 6 月 社長室 室長
平成 12 年(2000 年) 7 月 ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社*
(*平成 18 年(2006 年)10 月 ソネットエンタテインメント株式会社に商号変更)
(*平成 25 年(2013 年) 7 月 ソネット株式会社に商号変更)
(*平成 28 年(2016 年) 7 月 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社に商号変更)
平成 13 年(2001 年) 5 月 執行役員 コーポレートプランニング担当
平成 17 年(2005 年) 4 月 代表取締役社長
平成 19 年(2007 年) 6 月 ソニー株式会社 グループ役員
平成 25 年(2013 年) 12 月 ソニー株式会社 執行役 EVP CSO 兼 デピュティ CFO
平成 26 年(2014 年) 4 月 ソニー株式会社 代表執行役 EVP CFO
平成 26 年(2014 年) 6 月 ソニー株式会社 取締役 現在に至る
平成 27 年(2015 年) 4 月 ソニー株式会社 代表執行役 副社長 兼 CFO
平成 30 年(2018 年) 4 月 ソニー株式会社 代表執行役 社長 兼 CEO 現在に至る
https://www.sony.co.jp/pressroom/executives/u38u070000005lrm-att/Yoshida201806.pdf
代表メッセージ
HP(Sony Japan | マネジメントメッセージ)引用です。
イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値の向上を追求し、持続可能な社会の発展に貢献することが、企業としての社会的責任であると考えています。
企業理念
HP(Sony Japan | 創業者理念とCSRに対する考え方)引用です。
“ソニー株式会社(創業当時:東京通信工業)の創業者である井深大は、会社の設立目的の第一に「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由豁達にして愉快なる理想工場の建設」を掲げた設立趣意書を起草しました。この終戦直後(1946年)に書かれた設立趣意書には、「日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動」、「国民生活に応用価値を有する優秀なるものの迅速なる製品、商品化」、さらに「国民科学知識の実際的啓発」も会社設立の目的として言及され、社会や社員に対して価値ある存在の会社となることを、井深は目指していました。この理念は、ソニーのDNAとして引き継がれ、CSR活動の原点をなすものと考えています。”
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
設立年
1946年(昭和21年)5月7日
資本金
8,657億円(2018年3月31日現在)
株式公開
1,271,230,341株
事業拠点
詳しい事業内容
業績
2018年度(2019年3月期)
売上高
(単位:百万円) | ||||
---|---|---|---|---|
売上高(2017年度) | 売上高(2018年度) | 構成比(%) | 前年比(%) | |
連結売上高 | 8,543,982 | 8,665,687 | - | 101.4 |
セグメント別 | - | - | - | - |
ゲーム&ネットワークサービス | 1,943,812 | 2,310,872 | 26.7 | 118.9 |
音楽 | 799,995 | 807,489 | 9.3 | 100.9 |
映画 | 1,011,067 | 986,873 | 11.4 | 97.6 |
ホームエンタテインメント&サウンド | 1,222,733 | 1,155,411 | 13.3 | 94.5 |
イメージング・プロダクツ&ソリューション | 655,892 | 670,450 | 7.7 | 102.2 |
モバイル・コミュニケーション | 723,742 | 498,000 | 5.7 | 68.8 |
半導体 | 850,010 | 879,330 | 10.1 | 103.4 |
金融 | 1,228,377 | 1,282,539 | 14.8 | 104.4 |
その他 | 407,174 | 345,737 | 4.0 | 84.9 |
共通およびセグメント間取引除去 | △ 298,820 | △ 271,014 | - | - |
営業利益率
(単位:百万円) | ||||
---|---|---|---|---|
営業利益(2017年度) | 営業利益(2018年度) | 利益率(%) | 前年比(%) | |
営業利益 | 734,860 | 894,253 | 10.3 | 101.4 |
セグメント別 | - | - | - | - |
ゲーム&ネットワークサービス | 177,478 | 311,092 | 13.5 | 175.3 |
音楽 | 127,786 | 232,487 | 28.8 | 181.9 |
映画 | 41,110 | 54,599 | 5.5 | 132.8 |
ホームエンタテインメント&サウンド | 85,841 | 89,669 | 7.8 | 104.5 |
イメージング・プロダクツ&ソリューション | 74,924 | 83,975 | 12.5 | 112.1 |
モバイル・コミュニケーション | △ 27,636 | △ 97,136 | △ 19.5 | 351.5 |
半導体 | 164,023 | 143,874 | 16.4 | 87.7 |
金融 | 178,947 | 161,477 | 12.6 | 90.2 |
その他 | △ 23,530 | △ 11,127 | △ 3.2 | 47.3 |
共通およびセグメント間取引除去 | △ 64,083 | △ 74,675 | - | - |
営業業績の分析
2019年3月決算短信より
売上高および営業収入
売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比1,217億円(1%)増加し、8兆6,657億円となりまし た。これは、主にモバイル・コミュニケーション(以下「MC」)分野の大幅な減収があったものの、ゲーム &ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野の大幅な増収があったことなどによるものです。前年度の 為替レートを適用した場合、売上高は約2%の増加となります
営業利益
営業利益は、前年度比1,594億円増加し、8,942億円となりました。この大幅な増益は、MC分野における大幅な損失拡大があったものの、主にG&NS分野及び音楽分野における大幅な増益があったことによるものです。
セグメント別営業分析
なお、ソニーの決算短信p26,27にてセグメントごとに2018年度の営業業績の分析と2019年度の見通しついて詳しく書かれている。各々希望分野について確認しておくと非常にいいと思う。この記事では簡潔にメインポイントのみ引用する。
ゲーム&ネットワークサービス
[2018年度業績]
「プレイステーション4」(以下「PS4®」)のハードウェアの減収の影響はあったものの、ゲーム ソフトウェアの増収、有料会員サービス「プレイステーション プラス」の加入者数の増加などにより、前年度 に比べ3,671億円(19%)増加。
[2019年度見通し]
ゲームソフトウェア販売の増加を見込むものの、PS4®ハードウェアの販売台数減を見込 むこと、及び為替の影響などにより、ほぼ2018年度並みを見込んでいます。
音楽
[2018年度業績]
主に顧客との契約から生じる収益に関する会計基準の変更の影響により音楽制作におけるパッ ケージメディアが減収となったものの、ストリーミング配信の売上が増加したことや2018年11月14日以降EMI を連結したことで音楽出版において売上が増加したことなどにより、ほぼ前年度並み
[2019年度見通し]
モバイル機器向けゲームアプリケーションの減収に加え、音楽制作におけるパッケージ 及びデジタルダウンロード売上の減少を見込むものの、EMIの期初からの連結による音楽出版における増収や音楽制作及び音楽出版においてストリーミング配信売上の増加を見込むことから、分野全体で増収を見込んでいます。
映画
[2018年度業績]
映画製作の減収は、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「スパイダーマン:ホームカミング」などが好調だった前年度に比べ、「ヴェノム」「モンスターホテル3」を含む当年度の作品の全世界での劇場興行収入が減少したことなどによるものです。
[2019年度見通し]
公開予定の大型映画作品数の増加による映画製作の増収及び番組数の増加や作品ミック ス改善にともなうテレビ番組制作の増収などにより分野全体で増収を見込んでいます。
ホームエンタテインメント&サウンド
[2018年度業績]
高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善があったものの、規模を追わない収益性 重視の経営によるテレビの販売台数の減少や為替の影響などにより、前年度に比べ673億円(6%)減少。
[2019年度見通し]
未記載
イメージング・プロダクツ&ソリューション
[2018年度業績]
の増収は、市場縮小の影響によるコンパクトデジタルカメラの販売台数の減少などがあった ものの、主にミラーレス一眼カメラやその交換レンズ群などの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミック スの改善によるものです。
[2019年度見通し]
未記載
モバイル・コミュニケーション
[2018年度業績]
減収は、スマートフォンの販売台数の大幅な減少によるものです。
[2019年度見通し]
未記載
半導体
[2018年度業績]
増収は、カメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージ センサーの大幅な増収などによるものです。
[2019年度見通し]
モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量の大幅な増加 や製品ミックスの改善にともなう大幅な増収などにより、大幅な増収を見込んでいます。
向先地域別売上高
[6]より、向先地域別売上高をまとめる。
売上に関しては国内30 %、欧米23 %、欧州21 %、中国9 %、アジア9 %、その他6 %となっている
成長性
経済的動向
2019年3月決算短信p22より
2019年度の連結売上高は、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野*及びG&N S分野で減収を見込むものの、半導体分野、映画分野、金融分野及び音楽分野で増収を見込むため、2018年度 比で増収を見込んでいます。
連結営業利益は、主にEP&S分野や映画分野で増益を見込むものの、2018年度にEMIの連結子会社化による 再評価益の計上があったことなどにより、2018年度比で減益を見込んでいます。営業費用として営業利益に含まれる構造改革費用は、2018年度の331億円に対し、2019年度は240億円を見込んでいます。
研究比割合
2018年度の有価証券報告書がまだ上がっていないので2017年度の資料(p48)より引用する。各内訳については同ページに記載されているので、参考文献より資料を参照してください。
2017年度の研究開発費は、前年度に比べ110億円(2.5%)増加の4,585億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は前年度の6.9%から6.3%になりました。
個人的考察
成長性について
地域別売上について、ほかのメーカー(三菱電機や日立製作所など)と比較すると、非所にバランスが取れた構成になっていることが分かる。ゲーム分野では今期の増収も大きく、グローバルスケールで相当な強さを感じられる。個人的にはブランド力も十分あるように感じ、B2Cとしては長期的な売り上げを見込めるのではないかと思う。
ただ、唯一赤字事業のモバイル・コミュニケーションについては完全に日系企業は中国や韓国に負けています。ソニーも富士通もモバイル分野についてはグローバルスケールでは需要は強くないというのが現実だと思う。これからは新通信方式の5G対応デバイスとしてどこまで適応していけるかにかかっていると思うが、すでに韓国では実用化されているし、出遅れているのが心配。
ただし、ここまで営業売上が大きい会社で純利益が10%を越えていることは知らなかったし、非常に驚いた。大手電機メーカーでは断トツでは・・・?
時事問題
時事問題としては最新のニュースだとPS5の情報くらいかと。ただ、発売は来年2020年以降とのこと。ゲームが売り上げの25%以上を占める重要分野であるため、非常に興味深い。
参考文献
[1]2019年3月期 決算短信
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/18q4_sony.pdf
[2]2018年度 連結業績概要
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/18q4_sonypre.pdf
[3]ソニーグループ概要
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/download/sony_group_summary_J.pdf
[4]2017年度 有価証券報告書
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/h29_q4.pdf
[5]19年発表?PlayStation 5の噂7つ。「すでにPS5の開発機が配布中」など
[6]2018 年度第 4 四半期連結業績補足資料
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/er/pdf/18q4_supplement.pdf