Panasonic株式会社の企業研究(2017年度)
Panasonicの企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事は投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
津賀一宏
経歴
1979年 3月 大阪大学基礎工学部生物工学科 卒業
1986年 カリフォルニア大学サンタバーバラ校
コンピュータサイエンス学科修士課程 修了
1979年4月松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)入社
2004年 6月同社 役員に就任 デジタルネットワーク・ソフトウェア技術担当
2008年 4月同社 常務役員 オートモーティブシステムズ社 社長
2012年 6月同社 代表取締役社長に就任
代表メッセージ
”A Better Life, A Better World”の実現に向けて
進化し続けるパナソニックへ
企業理念
パナソニックのブランドスローガン“A Better Life, A Better World”は、 創業者・松下幸之助が定めた綱領を、現代向けに、端的に表現したものです。
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
設立年
1935年
創業年
1918年
資本金:
2,587億円
株式公開
2,453,053,497株
事業拠点
*2019年4月1日より、社内カンパニー体制の変更をはじめとする大規模な組織変更あり
Panasonicの事業部は分野ごとに分離されており、現在は全7社体制となっている。(2019年3月31日までは全4社体制)
- アプライアンス社
- ライフソリューションズ社
- コネクティッドソリューションズ社
- オートモティブ社
- インダストリアルソリューションズ社
- 中国・北東アジア社
- US社
事業拠点については以下のURLより各事業社のサイトへ飛び、詳しい拠点情報が記載されている。
カンパニー・事業部情報
セグメント別の業績を記載するため、以下に2019年3月31日までの事業部について記載する。
- アプライアンス社
- エコソリューションズ社
- コネクティッドソリューションズ社
- オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
業績
2017年度(2018年3月期)
売上高
連結売上高: 7,982,164百万円(7兆9821億6400万円)前年比108.7%
各セグメント別
コンプライアンス:25,884 億円(29.4 %)前年比 103 %
エコソリューションズ: 16,235 億円(18.4 %)前年比 105 %
コネクティッドソリューションズ:11,193 億円(12.7 %)前年比 106 %
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ: 28,035 億円(31.8 %)前年比 116 %
その他:6,759 億円(7.5 %)前年比 100 %
消去・調整:△8,284 億円
*消去・調整には特性のセグメントに帰属しない収益や費用、連結会計上の調整およびセグメント間の内部取引消去による会計収支
*厳密なセグメント別の売上高割合は消去・調整がどうなっているのかによるため不透明だが、本記事では消去・調整前の売上高(8兆8106億円)を用いてセグメント比を算出する。
営業利益率
連結売上高: 380,539 百万円(4.8 %)前年比137.5%
各セグメント別
コンプライアンス:1,044 億円(4.0 %)前年比 106 %
エコソリューションズ: 725 億円(4.5 %)前年比 113 %
コネクティッドソリューションズ:1,057 億円(9.4 %)前年比 210 %
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ: 914 億円(3.3 %)前年比 98 %
その他:108 億円(1.6 %)前年比 134 %
消去・調整:△43 億円
2018年3月期決算短信
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2018/05/jn180510-1/jn180510-1-9.pdf
2018年3月期セグメント別
営業業績の分析
以下は2018年3月期アニュアルレポートのP84より抜粋である。
経営概要
“2017年度の世界経済は、米国では堅調な個人消費に加えて設備投資の回復により好調に推移したほか、中国も外需拡大により輸出が増加するなど、景気の持ち直しの動きがみられました。日本においては、堅調な雇用情勢などを背景に、景気は緩やかに回復しました。”
売上高
“当年度は、車載・産業向け事業の成長などにより、増収を達成しました。国内売り上げは堅調に推移し、海外売り上げはインフォテインメント・車載関連機器を含むオートモーティブ事業や二次電池を含むエナジー事業などの車載事業が大きく成長したことに加え、フィコサ社・ゼデス社の新規連結および為替の影響により、9%増加した。”
*フィコサ社:スペインの自動車部品、システムサプライヤーで共同出資し電子インナーミラーの量産出荷を2017年9月より開始。トヨタ自動車株式会社の純正用品としても採用。
*ゼデス社: ベルギー ブリュッセルに本社を置き、物流・人物認証とモビリティソリューションのマーケットリーダーであるゼテス・インダストリーズSA。
フィコサ社
ゼデス社
向先地域別売上高
日本:37,252億円 前年比102% (46 %)
米州:16,683 億円 前年比105% (20 %)
欧州:8,210 億円 前年比127% (10 %)
アジア:10,871 億円 前年比106% (13 %)
中国:9,817 億円 前年比114% (12 %)
アニュアルレポートP85参照
https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/panasonic_ar2018_j.pdf
成長性
経済的動向
以下はアニュアルレポートP18より抜粋である。
“高成長事業では、1兆円の戦略投資(2015年度より開始し、2017年度末時点において約70 %はすでに投資を完了。また、約85 %がすでに意思決定済みp19参照)において集中的に資金を投入してきた結果、売上高、営業利益ともに車載電池を中心に大きく伸びる見通しです。安定成長事業においては、増収増益となるものの、大型航空機の需要減少に伴いアビオニクスが減収減益となり、成長はやや鈍化する見込みです。収益改善事業においては、引き続き事業の転地、固定費の削減、合理化に取り組み、半導体、液晶パネルを中心に利益が大幅に改善する見通しです。”
研究比割合
2017年度の研究開発費は4,489億円(連結売上高の5.6 %)となっている。図からもわかるように基本的には横ばい。ただ、日本国内のメーカー比較では高い割合。
アニュアルレポートP9参照
https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/panasonic_ar2018_j.pdf
個人的考察
成長性について
中期的な見方をすると、電気自動車向けのリチウム電池や車載事業に関しては、今後ますますトレンドとなっていくことが考えられる。その一方、B2C事業の白物家電や電設資材事業については東京五輪後に国内需要は落ち込みや、国外企業との競争力など、マーケットマージンは少ないように感じる。
時事問題
三洋電機について
パナソニックは2009年当時リチウムイオン電池世界シェア1位の三洋電機を4,000億円で買収(連結子会社化)し、その後2011年に総額8,100億円で完全子会社化を行った。しかし、韓国サムスン電子の携帯、PC向けリチウム電池にシェアを抜かれる。この理由として韓国政府の国策による支援やウォン安円高による外因的要因、さらには日本人技術者の流出などもあり、コストパフォーマンスの優れた製品であったこと。(2016年には電池の爆発事故でGalaxyNote7のリコールなど問題もあるが・・・)結果として、2012年3月には7,721億円の赤字を計上した。さらに2013年3月も7,650億円の赤字を計上。営業利益では2012年3月では438億円(この年はタイの洪水など外因的要因も重なった。)、2013年3月では1,400億円の黒字を計上するも、特別損失による影響で純利益は大幅な赤字。調べていると本が出版されていたので、商品リンクを添付しておく。私も読んでみようと思う。
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