京セラ株式会社の企業研究
京セラ株式会社の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
山口吾郎(代表取締役会長)
谷本秀夫(代表取締役社長)
代表メッセージ
[1]お客様の満足のために、グループの力を結集し、新たな価値を創造し続ける。
企業理念
社是
[2]“敬天愛人”常に公明正大 謙虚な心で 仕事にあたり 天を敬い 人を愛し 仕事を愛し 会社を愛し 国を愛する心
経営理念
全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類、社会の進歩発展に貢献すること。
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
設立年
1959年4月1日
資本金
115,703百万円 (2019年3月期)
株式公開
377,618,580株
事業拠点
事業所、営業所は [3]参照。
研究所については[4]参照。
詳しい事業内容
[5]事業内容は8つのセグメントから構成されている。
産業・自動車用部品
ファインセラミック部品と自動車部品やその他工作機器の開発製造を行っている事業。
半導体関連部品
電子機器や、車載向けのセラミックパッケージや通信モジュール、配線基板などの開発製造を行っている事業。
電子デバイス
電子部品の開発製造を行っている事業。
コミュニケーション
携帯端末やタブレット、國愛通信サービスの提供を行っている事業。
ドキュメントソリューション
プリンターや複合機、それに関連したサービスの提供を行っている事業。
生活・環境
ソーラーエネルギー関連や医療用製品の開発製造を行っている事業。
その他
宝飾品やセラミックキッチングッズからリゾートホテルの運営までの提供を行っている事業。
各セグメントの詳細や商品はHPを参照してください。このサイトよりよっぽど詳しく書いてあります。
業績
2017年度(2018年3月期)
売上高
営業利益率
産業・自動車部品
[6]前連結会計年度に実施したM&Aにより機械工具の売上が増加 したことに加え、産業機械向けファインセラミック部品の売上が堅調に推移しました。
半導体関連部品
[6]スマートフォン及び光通信用セラミックパッケージの売上が 減少しました。 事業利益はセラミックパッケージの減収や有機材料事業において減損損失161億84百万円を計上したことにより、前連結会計年度の310億49百万円に比べ201億17百万円(64.8%)減少の109億32百万円 となり、事業利益率は前連結会計年度の12.1%から4.4%へ低下しました。
電子デバイス
[6]前連結会計年度にAVXが実施したM&Aによる貢献に加 え、スマートフォン向けセラミックコンデンサの売上が増加しました。 事業利益は増収及びAVXの収益性向上により、前連結会計年度の466億32百万円に比べ202億94百万 円(43.5%)増加の669億26百万円となり、事業利益率は前連結会計年度の15.3%から18.3%へ上昇し ました。
コミュニケーション
[6]情報通信サービス事業はエンジニアリング事業を中心に増収 となったものの、通信機器事業は主に国内向け端末の販売台数の減少により、減収となりました。 一方、事業利益は、通信機器事業において低採算製品の縮小及び原価低減による収益性改善が進 んだことから、前連結会計年度の44億40百万円に比べ59億53百万円(134.1%)増加の103億93百万円 となり、事業利益率も前連結会計年度の1.7%から4.1%へ上昇しました。
ドキュメントソリューション
[6]当連結会計年度の売上高は、為替変動の影響はあったものの、複合機等の販売台数が堅調に推移 したことに加え、M&Aの貢献もあり、前連結会計年度の3,710億58百万円と比較し、40億89百万円 (1.1%)増加の3,751億47百万円となりました。事業利益は、増収に加え、コスト低減や生産性向上により、前連結会計年度の408億51百万円に比べ26億77百万円(6.6%)増加の435億28百万円となり、事業利益率は前連結会計年度の11.0%から 11.6%へ上昇しました。
生活・環境
[6]当連結会計年度の売上高は、主にソーラーエネルギー事業の売上が減少したことにより、前連結 会計年度の1,122億12百万円と比較し、320億98百万円(28.6%)減少の801億14百万円となりました。 ソーラーエネルギー事業において、生産拠点の集約等、原価低減に取り組んだものの、減収及びポリシリコン原材料に関する長期購入契約の和解費用等523億13百万円を計上したことにより、事業 損失は前連結会計年度の554億92百万円に比べ115億24百万円拡大し、670億16百万円となりました。
営業業績の分析
[6]当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ466億71百万円(3.0%)増加の1兆6,237億10 百万円となり、2期連続で過去最高を更新しました。ソーラーエネルギー事業の受注減により「生活・環境」の売上は減少したものの、前連結会計年度に実施したM&Aの貢献もあり、「電子デバイス」や「産業・自動車用部品」の売上が増加しました。利益は、ソーラーエネルギー事業においてポリシリコン原材料に関する長期購入契約の和解費用 等523億13百万円、有機材料事業において有形固定資産及びのれん等の減損損失161億84百万円をそれぞれ計上しましたが、増収及び各部門での原価低減効果により、前連結会計年度に比べ増加しました。これにより、営業利益は41億24百万円(4.5%)増加の948億23百万円、税引前利益は同106 億18百万円(8.2%)増加の1,406億10百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、税金費用の 減少もあり、同240億73百万円(30.4%)増加の1,032億10百万円となりました。税金費用の減少の主な要因は、前連結会計年度は米国税制改正等に伴い、AVX Corporation(以下「AVX」)をはじめとする米国子会社にて一時的な税金費用を計上した一方で、当連結会計年度は京セラディスプレイ ㈱の吸収合併に伴い、同社の繰越欠損金等に係る繰延税金資産を認識したことによるものです。
向先地域別売上高
向先地域別売上は村田製作所などの部品メーカーと比較してバランスよく構成されている。
ある分野に特化して売り上げを上げているわけではなく、どちらかというと総合電機メーカーに似た構成比になっている。
成長性
経済的動向
[6]翌連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)は、部品事業においては、スマートフォン市場での伸び悩みが予想される一方、5Gの商用開始に向けた基地局等、通信インフラ市場の 立ち上りが見込まれます。また、自動車関連市場では、引き続きADAS関連が需要の伸びをけん引 するものと予想しています。ドキュメントソリューション事業においては、M&Aの効果を追求し、 機器及びソリューション事業の更なる拡大を図ります。これらの事業の伸びにより、当社は3期連 続で過去最高売上高の更新を目指します。 また、翌連結会計年度は、積極的な設備投資に伴う減価償却費の増加や、新規事業創出及び新 市場開拓に伴う費用増に加え、創立60周年行事に関する費用の計上を予定しています。事業成長 に向けた費用が増加するものの、当連結会計年度までに構造改革を実施したソーラーエネルギー事業及び有機材料事業における採算改善を図るとともに、全社で取り組んでいるAI等を活用した 生産性倍増プロジェクトを加速させます。
研究費割合
当期と来季予測の設備投資費及び研究開発費です。設備投資が比較的高いのに対して研究開発費は若干低め。
個人的考察
成長性について
まず、市場の変化については村田製作所の資料にて詳しく書いたので、そちらをご覧ください。
日系電子メーカーの将来性は総合電機メーカーと比較して明るいのではないかと考えている。
成長部門
中長期計画の2021年売上高2兆円、税引前利益率15%の達成のため、以下の3点に重点を置かれている。
事業拡大に向けた積極投資の継続
最新の買収では、[7]の建築産業用工具の大手販売会社サザンカールソン社の買収が新しい。傾向として、注力分野での買収と合併に積極的であり、海外売上比を伸ばしている。
個人的にはプリンターや複合機など今後の需要に不明瞭な分野の買収も含まれているが、[8]中長期的に見たら不利な条件でも買収に乗り切るのが京セラのやり方のようだ。
プリンター複合機の将来性についてキヤノンの記事にて考察しています(オフィスビジネスユニットについて)。
生産性倍増プロジェクトの推進
多くの企業がシフトしている通り、工場の自動化が進んでいる。人員の削減と生産性の向上を目的としたFA関連の投資を進めていく。
ソーラーエネルギー事業の事業モデルの転換
ソーラーエネルギー事業は京セラの足を引っ張っている。特に問題となっているのが、電気の販売価格であろう。[9]現状は固定価格制度といい電気の買取価格を10年間固定する仕組みになっている。これによって初期投資の高い太陽光発電でもリターンがきっちり返ってくるように普及を促していた。
しかし、現状では電気の買取価格はピーク時の半分(24円/kWh)となっている。
普及率に関しても[10]に書かれている通り、まだまだ低い。いまだに普及率は10%以下の水準で推移しており、初期費用に加えてメンテナンスなど長期で見た場合に費用対効果がどの程度あるのか明確でないため、このような結果となっている。
よって、京セラの方針として初期投資を抑えたサービスの運用を進めている。そこでキーとなるのが電気を売るから貯めるにシフトすることである。今後の普及に関しては不明瞭な部分が多いが、再生可能エネルギーの中で現状最も普及しているのが太陽光発電であるのは自明であるし、これからも拡大路線であることに変わりないと思う。
参考文献
[1] https://www.kyocera.co.jp/company/summary/message.html
[2] https://www.kyocera.co.jp/company/philosophy/index.html
[3] https://www.kyocera.co.jp/company/location/type/japan/offices.html
[4] https://www.kyocera.co.jp/company/division/r_and_d.html
[5] https://www.kyocera.co.jp/company/division/index.html
[6] https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/FY19_4Q_tanshin.pdf
[7] 京セラ、米工具販売会社を買収 900億円で :日本経済新聞
[8] なぜ、京セラ稲盛和夫氏は「不利な買収条件」でも応じたのか? - まぐまぐニュース!
[9] ついに家庭用太陽光発電が「2019年問題」に直面! 電気が売れない今後の行方は - 家庭用太陽光発電(ソーラーパネル)の価格比較・一括見積もりは「タイナビ」
[10]住宅に太陽光発電を導入した理由、しない理由――消費者の本音は (1/2) - スマートジャパン
株式会社村田製作所の企業研究[2019年]
株式会社村田製作所の企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
村田 恒夫
経歴
1974(?)年 同志社大学経済学部卒業
1974年3月 当社入社
1989年6月 当社取締役
1991年6月 当社常務取締役
1995年6月 当社専務取締役
2003年6月 当社取締役副社長
当社代表取締役(現任)
2007年6月 当社取締役社長
2010年12月 公益財団法人 村田学術振興財団 理事長(現任)
2017年6月 当社取締役会長兼社長(現任)
代表メッセージ
[1]引用
どんな時代にも、お客様に、社会に必要とされる存在であり続け、エレクトロニクスが実現する未来の発展に貢献する。
企業理念
[2]引用
"Innovator in Electronics"は、国内外のムラタグループ社員全員が共有するスローガンで、新市場、新商品、事業領域を拓いていくための理念でもあります。
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
設立年(創業年)
1950年(1944年)
資本金
694億44百万円 (2019年3月31日現在)
株式公開
675,814千株 (2019年4月1日現在)
事業拠点
[3]参照
拠点ごとに業務内容も示されています。
詳しい事業内容
[4]財務上のセグメントはその他を含めて3つに分かれます。
モジュール:通信モジュール、電源など
その他:機器製作、従業員の福利厚生、ソフトウェアの販売など
コンデンサ
スマートフォンなどの通信機器向けでは超小型品や小型大容量のコンデンサが、カーエレクトロニクス分野では自動車の電装化の進展で高信頼性のコンデンサが、さらに需要を拡大しており、ムラタの強みが発揮されています。
圧電製品
スマートフォンのマルチバンド化にともない表面波フィルタの需要が伸びているほか、自動車の運転支援用途で超音波センサに対する需要が増えています。
通信モジュール
スマートフォンの通信速度の高速化、多機能化、マルチバンド化で端末1台あたりの部品点数が増加しています。RF部の占有面積の削減や通信回路スペースの効率的な使用などを目的にモジュール化 (部品の集積化) の動きが進んでおり、今後も需要拡大が期待できます。
電源他モジュール
エネルギー、データセンターやサーバー用の電源として、さらに需要拡大が期待できます。
その他コンポーネント
スマートフォン向けの高周波コイルやメタルコイル、カーエレクトロニクス向けのEMI除去フィルタや横滑り防止装置に使われるMEMSセンサなどが、今後も拡大する見込みです。
業績
2017年度(2018年3月期)
売上高
営業利益率
[5]引用
コンポーネント事業
主力の積層セラミックコンデンサについて、カーエレクトロニクス向けで伝送化の進展を受け堅調に推移したほか、中華圏スマートフィン向けやコンピュータ及び関連機器向けなど幅広い用途で拡大し、大幅に増加。
圧電製品
表面はフィルタにおいて、スマートフィン向けで高付加価値品の数量減少や値下げの進展により、減少しました。
その他コンポーネント
高周波コイルがハイエンドスマートフォン向けで低調でしたが、カーエレクトロニクス向けでMEMSセンサが続伸したほか、2017年9月に取得が完了したリチウムイオン二次電池の売上が計上されたことから、大きく増加しました。
[5]引用
モジュール事業
通信モジュール
樹脂多層基板がハイエンドスマートフォンの新モデルの採用により大きく新調したほか、通信機器用モジュールにおいても増加しました。
電源他モジュール
電源がOA機器向けなどで減少しました。
営業業績の分析
[5]引用
世界の経済情勢は、米国では継続した雇用拡大や、個人所得の改善を受け経済は堅調に推移しました。その一方で、中国は米国との貿易摩擦の影響が鮮明になり、欧州は経済が軟化する中で政治不安も抱えており、年度の終わりにかけて世界経済の減速傾向が強まってきました。
当社が属するエレクトロニクス市場は、カーエレクトロニクス向けで自動車の環境対応や安全性の向上により、電装品の搭載数が増加し部品需要が拡大しました。また、スマートフォンやPCの高機能化による1台当たりの部品数増加など、第三四半期までは様々な用途においてコンポーネント部品を中心に需要が拡大しましたが、第四四半期はスマートフォンの台数減少もあり、部品需要に陰りが見られました。
向先地域別売上高
向井先地域別売上は9割が海外です。携帯端末の生産が多いアジア圏に集中しています。
成長性
経済的動向
[5]引用
次期の世界の経済情勢は、米中貿易摩擦の着地が見えない中で、他国においても保護貿易主義的な動きが鮮明になりつつあり、世界経済の先行きの不透明感が増しています。
エレクトロニクス市場においては、中期的には通信市場における5G(第五世代移動通信システム)導入、自動車の電装化の進展などにより、電子部品需要が拡大する見通しは変わらないものの、短期的には市場における電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整もあり、時期の前半は需要に勢いが欠けると予想されます。
研究費割合
研究開発費は毎年およそ売上の6から7%を推移しています。売り上げが伸びているため、相対的に研究開発費も伸びていることがわかります。
[6]また、設備投資ですが、2018年度及び2019年度は3,000億円ちかく設備投資をしています。特に積層セラミックコンデンサの生産は年間10 %ずつ伸ばしていたが、それでも生産が追い付いていない状況である。また、今後電気自動車や5G関連機器の拡大によって需要は右肩上がりになることから、新たに工場を国内2拠点(福井県、島根県)に建設中。
個人的考察
成長性について
成長性について個人的考察をすると、日経部品メーカーの将来性は他の大手総合電機メーカーと比較すると明るいのではないかと考えている。
もちろん米中貿易摩擦によるファーウェイ排除など多くのリスクも含んではいるが、部品業界全体の市場規模が拡大している中で需要が減衰していくとは考えにくい。
[7]引用
電子情報産業(①薄型テレビや映像記録再生機器、撮像機器などで構成される電子機器群。②電子部品や半導体などの電子デバイス。③IoTなどデジタルビジネス推進のためのSI開発、ソフトウェア、アウトソーシングなどの再ビス事業であるソリューションサービス。)の世界生産額は17年度比8%増の2兆9345億ドルで過去最高の更新が見込まれている。
このうち部品メーカーは②に該当する。
電子部品の世界生産額は25兆3962億円でこの内、日系企業は38%を占める。
世界市場においては、車の環境対応や自動運転システムにより電子部品搭載数は増加する。さらに高機能スマートフォンの市場参入により、対応部品も高水準で推移する。これに加え、第5世代通信システム(5G)の導入に伴い、基地局やデータセンターでの需要増も含め19年も引き続き好調をキープする見通し。
今回は2点(携帯市場、電気自動車市場)を考察する。
携帯市場
携帯市場は2018年後半から不振がたびたび報道されていた。こればスマホ産業がすでに成熟市場へとなりつつあるからである。2018年のスマートフォンの利用率は日本では7割を超えた。
[8]世界でも利用率は見つけられなかったが、全出荷台数は2年連続で減少。減少率は4.1%にもなる。
[9] 調査結果によると、スマートフォン市場は先進国で成長率が鈍化し、中国も普及が一段落。今後は中国を除くその他のアジア地域や中東、中南米、アフリカなどの市場で需要拡大を期待できるが、全体では年率2%と低調な伸びと予測した。
これらの状況から、スマートフォン市場は2017年の14億1200万台に対し、2022年は15億9000万台と予測。このうち、5G対応機は3億1000万台を見込む。スマートフォン全体に占める5G対応機の比率は19.5%となる。一方、フィーチャーフォンは2017年の2億8400万台に対し、2022年には1億1800万台に減少するが、一定の需要は残存すると予測した。
すでに成長産業ではなくなっているが引き続き新興国での需要拡大で堅調な伸びが期待できる。
電気自動車市場
電気自動車市場はこれからの成長市場でほぼ間違いないだろう。環境問題における内燃機構エンジンから電気自動車へのシフトや自動運転技術など、本格的な導入は始まったばかりである。
[11]たとえば、日本の電気自動車の普及率は2016年で0.1%しかない。
[10] 車載電装システムの世界市場は、2017年に21兆863億円を見込む。内訳はパワートレイン系システムが7兆6129億円、走行安全系システムが4兆7767億円、HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系システムは1兆9154億円である。
2025年の市場規模は、35兆404億円と予測する。大幅伸長が予測されているHV/PHVシステムやEV/FCVシステムの他、アイドリングストップ/回生システム、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムなどの品目が、2016年から2025年までの年平均成長率で10%を上回るとみている。
ただし、電気自動車市場は空振りになるという記事も存在する。
[12]記事を要約すると、電気自動車の普及に伴い、最も問題となるのが電力不足である。日本国内でいっても約4000万台が電気自動車にシフトした場合、日本の総電力の30%を使用することになる。
つまり、電力の発電環境が十分に整っていない状態で電気自動車の普及は伸びないのではないかということである。
もう少し調べてみると、[13]オーストラリアなど8割の電力を石炭による火力発電に依存している場合、CO2の排出力は電気自動車のほうがガソリン車よりも多くなる。
日本の場合、電力の7割を火力で賄っているため、必ずしも電気自動車が環境問題上優位であるとは言えないらしい。(走行距離に依存する。詳しくは参考文献参照。)
つまり、木を見て森を見ずということ。末端の利用者がCO2の排出を抑えていても発電方式が火力に依存していては問題解決にはならないのである。
まとめ
最後のほうは少し本質とずれてしまったが、いい勉強になりました。一概に安泰化といえばどの業界もそうとは言えないことがわかりました。
参考文献
[1] トップメッセージ | 村田製作所
[2] 理念 | 村田製作所
[3] 拠点一覧 | 村田製作所
[4] 事業 | 村田製作所
[5]決算短信 https://www.murata.com/~/media/webrenewal/about/newsroom/news/irnews/irnews/2019/0426/18q4_j_fls.ashx?la=ja-jp
[6] 【村田製作所】自動車で急増する電子部品、隣り合わせの設備急増リスク | 財務で会社を読む | ダイヤモンド・オンライン
[7] 19年電子情報産業は好調継続~半導体とともに電子部品需要も増大~ | LIMO | くらしとお金の経済メディア
[8] 成熟スマホ市場、中国勢が伸長 18年出荷、2年連続減 :日本経済新聞
[9] 2022年のスマホ市場は約16億台、うち2割が5G対応に (1/2) - EE Times Japan
[10] 車載電装システム市場、2025年に35兆円規模へ (1/2) - EE Times Japan
[11] 日本における電気自動車のシェア!
[12] 世界で期待のEV、2030年の普及率は10%以下? 過熱する報道とは異なり、48Vのマイルドハイブリッドがエコカーの主流に | LIMO | くらしとお金の経済メディア
[13] 【環境ニュース】マツダ、エンジン車とEVのCO2排出量を比較すると(1/2ページ) - 産経ニュース
「超」集中法 成功するのは2割を制する人 効率的な仕事や勉強は何をどうするべきなのか
こんにちは。
てっちゃんです。
本記事では
「超」集中法 成功するのは2割を制する人 著者:野口悠紀雄
の書評をします。
|
初めに
さまざま物事にはコアと呼ばれる重要な物事とそこまで重要でない瑣末な物事に分別することができます。
努力をするならそのコアと呼ばれる事象にするべきである。というのが前提となっています。
全体のうち、コアと呼ばれる部分は2割程度である場合が多く、コアを抑えることによって、おおよそ8割程度の価値が生み出される場合が多いのです。よって、勉強でも仕事でもこのコアを重点的に抑えることにより、短時間で大きな成果を出すことが可能であります。
しかしながら、このコアに関する考え方はよく知られていましたが、以下の2点に関して答えを提示していないからです。
- コアは、どうすれば見出すことができるのか?
- コアが変化したとき、どのように対応したらよいか?
この2点に関する解がこの本の目的となります。
特に私がこの2点に興味がある理由として、自分がやりたいと思うことに対して、1日が24時間しかないため、何かを犠牲にしながら時間を作っていました。
たとえば、「大学院で研究をする」「英語の勉強をする」「ジムに行って体を動かす」「アルバイトでお金を稼ぐ」「ブログを書く」です。
もちろん時間配分によって並行してすべてを行うことも一つの方法だと思います。
しかしながら、個別で考えた場合はどうでしょうか?
例えばこのようなケースです。
「大学院で1日のうち7時間を研究活動に充てる」
個別で考え、時間による制限を課した後にするべきことは何をどの程度やるかということです。この問題を解決したいというのが私のこの本を読む目的です。
2:8の法則
2:8の法則とは前章でも述べたように2割のコアのことです。そして、この2割のコアを抑えることによって、8割の仕事の能率や価値を生み出すというものです。これはコアを抑えないで行った場合と比較して4倍にまで高めることができるというのがこの本の主張です。
個人的にはこの4倍という数値は数学的には論理的でしたが、単純な事象を仮定しており、一般的には偽であると思います。
ただ、時間対効果を上げるのは間違いないと思います。
少し抽象的な言い方をすると、物事は偏りがあることが多く、一般的には努力と成果は一次関数で表わされることは少なく、平方根のような関数(y=√x)で表される場合がほとんどであるのです。
もちろん、個々の能力によって、関数の形状はもちろん変わってきますが、おおよそ当てはまるのではないでしょうか?
たとえば、受験勉強で偏差値を30から40まで上げるのと60から70まで上げるのでは偏差値という観点から見たら同じスケールであるのに必要な勉強時間は同じであることはない、ということです。
仕事の観点からですと、車の部品についてこの本では書かれていました。
1台の車には多くの部品が使われているのに対して、故障を起こす場合、大部分は使われる部品のうち2割である。ということです。
つまり、車の修理工場の立場から考えるとこの2割の部品を抑えることが仕事におけるコアになります。
そして、同じ部品数を在庫として保管できるのであれば、コアの2割の部品をしっかりと抑えた修理工場のほうが、ランダムに部品を在庫として保存した修理工場と比較して多くの場合に対応できる。ということです。
コアの見つけ方
仕事の場合
仕事における重要書類と 瑣末書類の分類について書かれています。
(ただし、近年は電子化により、紙の書類が減ってきているため、あまり私には参考になりませんでした。よって、割愛します。)
また、電子ファイルの場合はコアを見つけるために行うべきことは、整理ではなく、検索を用いることです。
著者の主張は、ファイルを内容別に整理するとこは、コアを見つけるためには不要であることが多いため、時間順に格納し、検索で探し出す方が効率です。
私の意見として、仕事におけるコアは一般化することは困難であるので、解はないように感じる。ただし、1日にやるべき仕事を10個書き出してみると、重要な仕事と瑣末な仕事に分けられ、取捨選択をすることで効率的な仕事を可能にすることが可能になると思います。
日本の大企業が2008年のリーマンショックから失われた10年といわれる所以もバブル期のように何をやってもうまく行ったビジネスモデルから、選択と集中をせざるを得ない現代に対応できてないことが日本企業の世界的競争力の衰退につながっているとも書かれていました。つまり、これはこの本の目的の2つ目の解である「コアが変化した場合にどのように対応すればよいのか」になります。
勉強の場合
勉強の場合にもこの集中法が有効です。
特に筆者も受験を経験した人間ですので、本書に書かれていた情報は非常に有用なものでした。
まず、できる学生とできない学生の違いとはどのような点であるのか。
これはまさしくコアを要領よく抑えることのできる学生か、そうでないかです。
例えば、同じ時間の制限をかけた場合に、このコアを抑える勉強法は有効になります。
つまり、短時間で高得点を取るための勉強法です。
もちろん100点を目指すのであれば、時間制限は100点を取るために必要なだけかける必要がありますが、8割の成果であれば、2割の試験範囲をマスターすることで達成可能なラインである。ということです。
このコアの抑え方も書かれています。
3点書かれていました。このうち2点は参考になるものでしたが、3点目に関しては私にはわかりませんでした。
1,過去問からコアを探す。
これは ほとんどの学生がすでにやっていることと思います。
試験範囲のコアを見つけるには非常に有用な方法です。
例えば3年間毎年出題されている問題と、5年間で1度出題された問題では、どちらの問題が重要であるかは火を見るより明らかです。
ほとんどの学生が時間がない!どうしよう!過去問だけやって何とかしよう。
これは、案外的を射た勉強法であります。
また、受験勉強でも受験する大学の過去問は解く学生がほとんどだと思います。理由は同じですね。傾向をつかむ。つまり、出題者(大学側)の重要問題を明らかにすることで重要コアを見出すことにほかなりません。
2,入門教科書でコアを知る。
これも私が実際に行った勉強法の一つです。
大学の専門書とは、非常に分かりにくいもので、情報量を多くすると段々とコアや重要部分が分かりにくくなります。
式が20個も30個も書いてあればどれが重要かはわからなくなっていきますよね。
その時に、参考にするべきは入門書の簡単な教材を用いることです。
もちろん入門書であるので、重要項目しか載せられないと思います。そので出た式がまさしく原理のコアとなる場合が多いというのが本書の主張です。
あまりこの方法に関して行ったことはなかったので、ぜひ私も実践してみたいですね。
3,図書館の本を見てコアを掴む。
この項が私には参考になりませんでした。
本書の著者はアメリカの大学院に通っていた時に図書館の本を見ると、先に借りた人の書き込みやらコメントがあり、コアを見つけるのに役に立ったと主張しています。
リーディングアサインメントと呼ばれる欧米の大学では一般的な課題があります。これは次回の授業までに関連した参考文献を読むというもので、とにかく量が多いそうです。
これを第二外国語で読むのは非常に大変で、その時に重要な部分を見つけるために、本を下から眺めたようです。
下から眺めると、汚れている個所が見つかるらしく、そここそ多くの学生が読んだ場所であり、本のコアに当たるということです。(結構ここは面白かった。)
日本ではあまり有効ではなさそうですね。
むしろ、あまりに書き込みがあると私は嫌になります。
ここで少し補足ですが、時間の制限を無くした場合は、コアを抑える勉強が有効であるとは限りません。受験など時間との闘いになる場合は有効ですが、コアを抑えれば勉強しなくてよいなんて考えはやめましょうねww
コアが変化したときにどのように対応するのか
ここではコアが変化したときの対応です。まずは大きな会社ごとの傾向を俯瞰してみます。
ここでは、水平分業方式と垂直統合生産方式の違いについて述べます。
水平分業方式の例としてAppleを挙げています。Appleはファブレスカンパニーです。つまり、製品の設計や開発は自社で行うが、生産は中国など外部委託して行う会社のことです。
日系企業だと、あの超高収益企業キーエンスなどが挙げられます。
これらの会社は高付加価値業務に特化しており、これこそコア業務であります。
対して垂直統合生産方式は伝統的な日系メーカーになります。つまり、製造過程のすべてを組織内で完結させている場合です。
これは時代の変化とともに変わってきた傾向で、どちらが良くて悪いという物ではありません。ただ、現在は垂直統合生産方式に対して水平分業方式のほうが収益率が高く、柔軟な経営ができる。ということになります。
この社会の傾向を掴むため、言い換えるとコアを把握するための方法として、ビックデータを用いた解析をすることでコアの変化を掴むことができます。(この記事では特に重要だとは思わなかったので、省略します。)
もちろん、このような大きな事象で仕事をするのは一部の会社経営者のみです。
一般的な社員がこの変化するコアに対応するとはどのような場合なのでしょうか。
結論から述べると、グループ内の優秀な人間を見つけ、ノウハウを盗むということです。
これはどのグループにも成績の優劣や時間管理の上手な人などいると思います。そういう人がどういう風に物事を進めているのか、また、自分と何が異なっているのかを見つけることが重要であります。
まとめ
初めて書評なんでしました。。。
これからも本は読みますし、自分の読んだ本の重要なポイントがこうやってブログに残り、後でこの自分の要約みたいなブログを読んで内容をブラッシュアップするのも結構いいものかもしれませんね。
ちなみに本書はこの後もう2章統計学的な解析を織り交ぜたビジネスモデルについても書かれています。
結構面白かったので、もし気になればぜひ読んでみてください。
株式会社リコーの企業研究(2019年度3月期)
株式会社リコーの企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
山下 良則
経歴
1980年(昭和55年)3月 広島大学 工学部 卒業
略歴 1980年(昭和55年) 3月 株式会社リコー 入社
2008年(平成20年) 4月 Ricoh Electronics, Inc. 社長
2010年(平成22年) 4月 グループ執行役員
2011年(平成23年) 4月 株式会社リコー 常務執行役員
2011年(平成23年) 4月 〃 総合経営企画室長
2012年(平成24年) 6月 〃 取締役[現職]
2013年(平成25年) 4月 〃 内部統制担当
2014年(平成26年) 4月 〃 ビジネスソリューションズ事業本部長 [現職]
2015年(平成27年) 4月 〃 基盤事業担当 [現職]
代表メッセージ
[2]一部抜粋
リコーグループは1936年の創業以来、世の中にイノベーションをもたらす製品やサービスを提供し、お客様とともに成長してきました。創業者・市村清による「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という創業の精神(三愛精神)を基盤とした「リコーウェイ」を企業活動の理念・価値観に据え、「世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献する」ことを使命としています。また、「世の中にとって、なくてはならない信頼と魅力のブランドでありつづける」ことを目指す姿に掲げています。
企業理念
[3]一部抜粋
リコーウェイは、リコーグループの日々の判断や活動の基礎となる普遍的な理念(創業の精神、私たちの使命・私たちの目指す姿・私たちの価値観)です。
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
[4]
設立年
1936年2月6日
資本金
1,353億円(2019年3月31日現在)
株式公開
744,912,078株
事業拠点
事業拠点についてはHP[5]を参考にして下さい。リコーでは勤務地を選択できるようです。[6]
詳しい事業内容
-
オフィスプリンティング分野
マルチファンクションプリンター、複写機、プリンター、印刷機、広幅機、FAX、スキャナ等機器、関連消耗品、サービス、サポート、ソフトウェア等
-
オフィスサービス分野
パソコン、サーバー、ネットワーク関連機器、関連サービス、ソリューション等
-
商用印刷分野
カットシートプロダクションプリンター(PP)、連帳PP等機器、関連消耗品、サービス、サポート、ソフトウェア等
-
産業印刷分野
インクジェットヘッド、作像システム、産業プリンター等
-
サーマル分野
サーマルメディア等
-
その他分野
光学機器、電装ユニット、半導体、デジタルカメラ、産業用カメラ、3Dプリント、環境、ヘルスケア等
業績
2017年度(2018年3月期)
売上高
営業利益率
2017年4月1日より事業領域の再定義を行ったため、各セグメントの売上高と利益率は2017年3月期からのデータを示す。
オフィスプリンティング事業は減少傾向にある。特に2018年度の大幅な営業利益の減少に関しては2008年に米事務機販売大手アイコンオフィスソリューションズ(現リコーUSA)を約1,600億円で買収した際ののれん計上(1,458億円)である。
こののれん代については時事問題の章にて言及する。
ちなみにのれんとは、企業の買収、合併で支払った金額のうち、買収先企業の純資産の差額のことである。
例えば、A社がB社を100億円で買収した。
しかし、B社の純資産は80億円しかない。
この場合、A社はB社には80億円の価値がないにも関わらず、100億円で買収したため、差額の20億円がのれんということになる。
この結果2018年度は一時的に営業利益率が下がったものの2019年度は採算を重視した売価適正化と、構造改革効果創出による営業費用削減などを進めた結果、営業利益率が向上した。
オフィスサービス事業については上昇傾向。
国内において、企業の働き方改革推進などに伴うIT機器需要拡大や業種業務ソリューション及びITサービスなどの売上が伸長したことに加えて、米州でドキュメント管理サービスなどのお客様の業務支援を行うサービスが拡大したことなどにより、増収。
2018年度の営業利益率についてはオフィスプリンティング分野同様にのれん計上(269億円)による一時的なものである。
商用印刷分野の売上高は、ほぼ同売上。
カットシートのカラー機を中心に稼働台数増により、関連消耗品及びサービスが堅調に伸長しましたが、ハードの売上が減少しました。
構造化改革により、販売費と管理費の減少より、営業利益率については上昇。
産業印刷分野の売上は3Dプリンターなど先端プリンティング技術の拡大により、売り上げは上昇傾向。
中国市場において、米中貿易摩擦の影響などによる中国市場でのインクジェットヘッドの販売鈍化の影響を受けたものの、欧米において主力のインクジェットヘッドの販売が堅調に拡大、また、新たな成長領域として取り組んでいる産業プリンターの販売も全世界で拡大したことなどにより、前連結会計年度比増収となりました。営業損益は、最大の市場で ある中国市場でのインクジェットヘッド販売減少の影響と、事業成長に向けた製品開発経費の増加、のれん等の固定資産の減損損失計上等もあり、71億円の損失となりました。
サーマル分野は売り上げについては上昇傾向。利益率は下落。
サーマル分野の売上高は、国内外ともに売上が堅調に推移し、前連結会計年度に比べ 8.0%増加し 663億円と なりました。営業利益は、原材料費高騰の影響等による営業費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ 15.7%減少し 42億円となりました。
その他分野について、株式売却益など一時金が計上されているため、売上および利益率は急峻であるが、それを除くと、増収増益。
産業プロダクツ事業は主に自動車業界に、Smart Vision事業は主に不動産業界に、リコーの強みであるキャプチャリング技術や画像処理技術を活かした光学デバイスを提供し、顧客基盤を拡げています。
営業業績の分析
[8]
2018年度の世界経済は、前連結会計年度からの回復基調を維持し、全体として堅調に成長しました。日本、米国で は、緩やかな経済成長が続いており、欧州もBrexit(英国のEU離脱)やトルコ・ショックなどによる先行きの不透 明感はあるものの、総じて堅調に推移しました。一方で、中国は米中貿易摩擦の影響が不安視されますが、他の新 興国においては持ち直しの動きが見られます。
そのような経済情勢の中で、当社グループの主力事業である事務機の需要は、前連結会計年度に引き続き、先進国 での緩やかな需要の減少と、新興国での需要拡大が進みました。金額ベースでは、全需の8割を占めるA3MFPが先進 国を中心に緩やかな減少が続くものの、A4MFPについては、先進国、新興国いずれも需要の拡大が見込まれていま す。消耗品に関しては、金額ベースで先進国での緩やかな減少が見込まれる一方で、製品需要の拡大により新興国 での拡大が見込まれています。また、オフィスにおける業務IT化の需要が全世界的に高まり、ITサービスに対する 需要は堅調に拡大しました。
向先地域別売上高
向先売上構成比に関しては、上図の通りである。国内外比は40 % :60 % となっている。
成長性
経済的動向
経済的動向に関しては、業績見通しが上がっているものの、世界経済や需要に関する内容は書かれていない。
業績見通しは、[5]P.8に記載あり。売上予想は0.2 %減の20,100億円(2兆100億円)、営業利益は15.2 %増の1,000 億円となっている。
研究費割合
[9]より、2018年度110,091百万円(売上高の5.3 %)、2019年度111,013百万円(売上高の5.5 %)となっている。平均並み。
個人的考察
成長性について
構造化が始まったばかりであるので、まだまだ誰にも分らないであろうが、構造改革からもわかる通り、オフィス分野の衰退は避けられないため、新たな成長分野として、プリント技術とデジタル機器およびソフトウェア技術を融合させた新たなソリューションの2つが挙げられる。
時事問題
第19次構造改革について
[10]に詳しい構造改革について記載されている。構造改革期間は2017年4月から2020年3月まで。現状の進捗状況については[11]に記載されている。
成長戦略は3段階に分かれている。
- 成長戦略0
- 成長戦略1
- 成長戦略2
順に引用、解説していく。
まず、成長戦略0は基板事業の再起動。これは、ロボット化やAIによる生産環境の低コスト化、高効率化である。売上原価率と販売管理費の減少はまだ大きく結果には出てないものの従業員1人当たりの売上高は2016年比5 %も上昇している。(これは人員削減によるものなのか・・・?)
結局、生産環境の自動化は労働者のリストラにつながることでもあるため、今後もこの傾向は続くと考えられる。
次に成長戦略1は成長分野への投資、拡大そして、準備である。リコーの今後の成長分野として、プリンティング技術を成長分野として改革およびM&Aを行っている。
ColorGATE Digital Output Solutions GmbHの買収によりソフトウェア技術力を強化および、株式会社エルエーシーの買収により高粘度のインク塗装技術を獲得したことが挙げられる。前者はプリンティング分野ではなく、オフィスサービス事業であるが、ともかく2019年3月期および次期の2年間で合計2,000億円の買収を計画している。買収に関しては後程まとめる。
そして、最後に成長戦略2はデジタル機器およびソフトウェア技術を融合させた新たなソリューションとして、働き方構造化に対して新製品を生産する。ソリューション例として、電子黒板やテレビ会議、WEB会議システムなどが挙げられる。
具体的な数値目標として、引用した画像を添付しておく。
これまでの買収について
これまでに行った買収について3社挙げておく。
米事務機販売大手アイコンオフィスソリューションズ(現リコーUSA)
[12]リコーが2008年に約1,600億円で買収したが、現状は約2,660億円ののれんが発生している。この理由は単純で、ペーパーレス化によって、複合機の需要が落ち込んでいるから。特に先進国で進んでおり、需要回復は見込めない。
今までのビジネスプランとして、(キヤノンやニコンなどの複合機を扱っている会社)は複合機を出荷した後、紙やインクなどの消耗品で安定的に利益を上げるものであったが、その転換点が来たことにより、構造改革を急ピッチで行っているということであろう。(ちなみに2010年ごろはプリンターの売り上げが計上されている画像&ソリューション分野の構成比は70 %を越えている。)
ColorGATE Digital Output Solutions GmbH
2019年度3月期に計上されていた買収。成長戦略2で用いるソフトウェア強化のための買収。
株式会社エルエーシー
新プリンティング技術を強化するための高粘度のインク塗装技術。
参考文献
[1]代表取締役 社長執行役員 交代のお知らせ | リコーグループ 企業・IR | リコー
[2] トップメッセージ | リコーグループ 企業・IR | リコー
[4] https://jp.ricoh.com/company/data/
[5] 国内事業所 | リコーグループ 企業・IR | リコー
[6] 勤務先の選択について | 好きな街で、好きなだけ。 RICOH JAPAN Recruit web-site 2020
[7]https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/financial_results/h30_3/pdf/flash_report.pdf
[8]https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/financial_results/h31_3/pdf/flash_report.pdf
[9]主な財務指標 | リコーグループ 企業・IR | リコー
[10] トップインタビュー | リコーグループ 企業・IR | リコー
[11]第19次中期経営計画の進捗 | リコーグループ 企業・IR | リコー
[12] リコー、北米事業で減損の恐れ 需要低迷、販社の収益改善遅れる - SankeiBiz(サンケイビズ)
電機主要8社の企業研究比較!会社の規模や研究費は!?
電気メーカー大手8社の企業研究になります。
各社の詳細については過去の記事にて言及していますので、この記事では各企業の営業売上、営業利益率および営業利益率に注視し、各企業の現状や展望について考察したいと思います。
比較企業
本記事にて比較する企業は、以下の8社となります。
営業売上、営業利益および営業利益率
2019年3月期の売上高、営業利益、および営業利益率をまとめます。
売上規模で考察をすると、日立製作所、SONY、Panasonic、三菱電機とグラフに示したおとりである。
営業利益に関しては、BtoCのゲーム分野で非常に強いブランド力を持つSONYと中国を中心とした建設機械の販売増、自動車関連機器、英国向け鉄道システムおよび国内システムインテグレーションと幅広く売り上げが増収となった日立製作所、最後にファクトリーオートメーションの需要増によって好調な三菱電機が3topである。
反対に構造再編中の東芝はかろうじて営業利益が黒字化したものの主要事業はいまだに不明瞭。富士通、NECなど国内インフラシステムなどを手掛ける会社も軒並み低営業利益率。シャープも2016年の構造改革から黒字は拡大しているもののどちらかというとコスト削減による黒字であると考えている。
国内外売上割合
国内外売上比率についてまとめる。個人的には同じ会社であってもセグメントごとに違うと思うので、注意する。今回はあくまで総売上高に対してどの程度海外売上があるのかについて言及する。
まず、細かい説明として、±aの部分は各社によって統合エリアが異なっていたため、不確かな値を置き換えた。
特に重要な部分ではないのであまり気にしないでほしい。
海外売上比率の大きさで考えると、SHARP、SONYなどBtoC企業が7割から7割強と秀でており、次に日立製作所、Panasonic、三菱電機、東芝などBtoBを主とする企業が5割、そして最後に国内インフラシステムなどを提供している富士通、NECが3割から4割となっている。
従業員人数
各企業記事では紹介していない従業員人数についても言及しておく。
総売上を従業員で割った一人当たりの総売上高も参考までに算出しておく。
もちろん会社の規模が大きいほど売上が多いのは自明であるが、従業員数と総売上高は必ずしも相関があるわけではないことが表からわかる。
研究開発費および設備投資費
次に研究開発費および設備投資費である。
2018年度の有価証券報告書についてはすべての会社で上がっているわけではなかったため、本記事では比較のためにすべて2017年度の有価証券報告書より引用した。
各会社の詳細
各会社の詳細については以前の記事を参考にしていただきたい。まだ未更新のものも存在するため、2017年度の企業研究である場合もある。大きく違うことはないと思うが、気になる方は注意してほしい。
日立製作所企業研究
SONY企業研究
Panasonic企業研究
三菱電機企業研究
富士通企業研究
東芝企業研究
NEC企業研究
SHARP企業研究
参考文献
[1]日立製作所研究開発、設備投資費
https://www.hitachi.co.jp/IR/financial/expend/index.html
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/h29_q4.pdf
https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/Report2017.pdf
http://www.mitsubishielectric.co.jp/ir/data/negotiable_securities/pdf/147.pdf
https://pr.fujitsu.com/jp/ir/secreports/2018/pdf/all.pdf
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/sr/sr2017/tsr2017.pdf
https://jpn.nec.com/ir/pdf/securities/2017/2017180_04.pdf
https://corporate.jp.sharp/corporate/ir/library/securities/pdf/124_4q.pdf
(バンクーバー観光)ディープコーブの美しい景色。観光するなら絶対行くべき
こんにちは。てっちゃんです。
今回はカナダ、バンクーバーのディープコーブに行ってきましたので、行き方やハイキングについて書きたいと思います。車で行かれる場合のためにも無料駐車場のアドレスについても書いておきます。
ディープコーブはバンクーバーのダウンタウンから公共の交通機関で簡単に行ける上に非常に美しい景色を楽しめる展望台やハイキングなどぜひバンクーバーに来たら行くべき観光スポットです。
ディープコーブ(Deep Cove)
ディープコーブはバンクーバーのダウンタウンからバスで1時間、ノースバンクーバーから40分ほどの場所にある小さな村です。ほとんどの留学生が訪れたことのある場所です。
ディープコーブは比較的簡単なトレイルコースでQuarry RockというDeep Coveを見晴らせる景観スポットを目指すのが一般的です。
基本的にはバンクーバーは冬でも雪が降ることはほとんどないので、年間を通して観光できるスポットです。
バンクーバーダウンタウンからディープコーブへの行き方
バンク―バーからディープコーブへの行き方ですが、主に2通りです。公共交通機関を使うか、車で行くかです。公共交通機関で行く場合はバスに乗って1時間ほどです。それに対して、車で行く場合はおよそ30分くらいで到着できます。
バスで行く場合
ダウンタウンからのバスは211番のバスに乗って1本で行くことができます。また、ダウンタウンから210番のバスに乗ってノースバンクーバーのPhibbs Exchangeというバスターミナルで212番のDeep Cove行きのバスに乗って行くこともできます。
私は普段ノースバンクーバーに住んでいるので、239番(ノースバンクーバーのパークロイヤルというショッピングモールからシーバステーション、Phibbs Exchangeを経由してCapilano Uni.に行く)のバスに乗ってPhibbs Exchangeに行き、8番のバスターミナルに212番のバスが来るのでそこで乗り換えていけます。ディープコーブは212番および211番の最終目的地ですので、終点まで行けば大丈夫です。
ちなみにPhibbs Exchange内は看板がしっかり立っているので、自分の乗るバスの番号(239番や212番など)と最終目的地をちゃんと把握しておけば間違えることは少ないと思います。(私は1度反対方向のバスに乗ったことはありますが。。。)
車で行く場合
車で行く場合は目的地直行で大丈夫です。また、ディープコーブには無料駐車場もありますので、書いておきます。そこを目指して車で行きましょう。無料駐車場は2つあります。
まずはパノラマパークを目的地に向かいましょう。下のグーグルマップでパノラマパークのすぐ横にある道がPanolama Dr.という名前です。そしてPanolama Drを交差する道路(ドーナツ屋さんやギャラリーがある道路)がGallant Ave.という名前です。
ここまで把握できたら以下のリンクから無料駐車場の場所を示したサイトを見れば確実に分かるはずです。
リンク先サイトの写真に写っている駐車場のすぐ隣の芝生がある場所はパノラマパークになります。
Parking and transit | Deep Cove Stage Society
ハイキングコースの名前や行き方、所要時間は?
観光で目指すQuarry Rockへ向かうトレイルのコース名は Baden Powell Trailといいます。コースの入り口はパノラマパークの無料駐車場の近くに看板があります。どこで撮ったのか忘れてしましましたが、Panplama Dr.上にこのような看板が立っていました。確か入り口のすぐ脇だったと思います。。。
次に所要時間です。所要時間は観光の時間も全部含めて2時間ちょうどで行って帰ってこれました。ジョフリーレイクスやグロースマウンテンと比べるとかなり易しめです。
ただし、運動靴と水などの準備はしっかりしていきましょう。道中は以下の写真のように木でできた遊歩道のような場所も多いです。かなりリラックスしながら歩くことができます。
そして、目的地のQuarry Rockからみた景色が下の写真です。
まとめ
最後にせっかくなら有名なドーナツでも食べて空いたお腹を満たして帰りましょう。語学学校の先生も何度も進めてくれたので、行く価値はあると思います。
About Honey Doughnuts and Goodies
私は残念ながら甘いのがそんなに好きではなかったことと、パブに行ってお酒が飲みたかったので行けませんでした。ただ、8月中にもう一度上る予定ですので、その際には立ち寄ってみたいと思います。
今回の記事ではディープコーブについて簡単に書きました。バンクーバーからアクセスが良い上にとても美しい景色が楽しめるお勧めのスポットです。
是非訪れてみてください。
以下Deep Cove HP
株式会社ニコンの企業研究(2019年3月)
株式会社ニコンの企業研究です。企業の理解を深めるために一連の情報をHPリンクとともにまとめてあります。この記事では投資家向け資料の連結決算概要から各セグメントの情報や考察を行いました。どちらかというと技術系の学生向けになっていると思いますが、事務系の学生にも役立つ情報をまとめてあると思います。
では、よろしくお願いします。
代表取締役
氏名
牛田一雄
経歴
[1]
1975年 東京大学工学部応用物理学科卒業
1975年 入社
2003年 執行役員、精機カンパニー開発本部長
2005年 常務取締役兼上席執行役員、精機カンパニープレジデント
2007年 取締役兼専務執行役員、精機カンパニープレジデント
2009年 取締役兼専務執行役員、知的財産本部担当役員、精機カンパニープレジデント
2013年 代表取締役兼副社長執行役員、知的財産本部担当役員、精機カンパニープレジデント、経営企画本部副担当役員
2014年 代表取締役兼社長執行役員、メディカル事業推進本部管掌、新事業開発本部管掌
2015年 代表取締役兼社長執行役員、経営戦略本部管掌、メディカル事業推進本部管掌、新事業開発本部管掌
2017年 代表取締役兼社長執行役員、新事業開発本部担当、光学本部担当、研究開発本部担当
2019年 代表取締役会長
企業理念
[2]「信頼と創造」
企業ビジョン
Unlock the future with the power of light
設立年・資本金・株式公開・事業拠点
[3][4]
設立年
1917年(大正6年)7月25日
資本金
65,476 百万円(2019年3月末現在)
株式公開
400,878,921株
事業拠点
大井製作所(東京都品川区)
横浜製作所(神奈川県横浜市)
相模原製作所(神奈川県相模原市)
熊谷製作所(埼玉県熊谷市)
横須賀製作所(神奈川県横須賀市)
詳しい事業内容
[5]
映像事業
デジタル一眼レフカメラ、コンパクトデジタルカメラ、オンライン写真共有サービス「NIKON IMAGE SPACE」、カメラとスマートフォンを常時接続するアプリ「SnapBridge」、双眼鏡、フィールドスコープ、ルーペ、ゴルフ用レーザー距離器
精機事業
半導体露光装置、フラットパネルディスプレイ(FPD)露光装置
ヘルスケア事業
超解像顕微鏡、細胞培養観察装置、超広角走査型レーザー
産業機器事業
X線/CT検査システム、大規模空間非接触測定器、多関節アーム型三次元測定機、CNC画像測定システム
業績
2017年度(2018年3月期)
売上高
(単位:百万円) | ||||
---|---|---|---|---|
売上高(2017年度) | 売上高(2018年度) | 構成比(%) | 前年比(%) | |
連結売上高 | 717,078 | 708,660 | - | 98.8 |
セグメント別 | - | - | - | - |
映像事業 | 361,542 | 297,383 | 42.0 | 82.3 |
精機事業 | 226,581 | 274,938 | 38.8 | 121.3 |
ヘルスケア事業 | 57,085 | 65,638 | 9.3 | 115.0 |
産業機器事業 | 131,270 | 133,786 | 18.9 | 101.9 |
調整 | △ 59,400 | △ 63,085 | △ 8.9 | 106.2 |
営業利益率
(単位:百万円) | ||||
---|---|---|---|---|
営業利益(2017年度) | 営業利益(2018年度) | 利益率(%) | 前年比(%) | |
営業利益 | 56,236 | 82,653 | 11.7 | 147.0 |
セグメント別 | - | - | - | - |
映像事業 | 30,222 | 22,069 | 7.4 | 73.0 |
精機事業 | 53,393 | 81,730 | 29.7 | 153.1 |
ヘルスケア事業 | △ 3,263 | △ 1,937 | △ 3.0 | 59.4 |
産業機器事業 | 5,026 | 6,937 | 5.2 | 138.0 |
調整 | △ 29,140 | △ 26,146 | △ 19.5 | - |
売上高に関しては主要事業が縮小市場であるため、2013年度をピークに減少傾向にある。映像事業の売上減少が反映されている形になっている。
映像事業は急激に売り上げが減少している。これはスマートフォンの拡大によってカメラの出荷台数が2010年をピークに減少しているためであると考えられる。
精密機器事業は現在伸びている事業。2010年度の赤字があまりにも大きいため、わかりにくいが、2018年度は営業利益率が30 %となっている。ただし、これは訴訟和解金の150億円が加算されている一時的な利益である。それを差し引くとおよそ25 %。
半導体露光装置については後程解説。
ヘルスケア事業の2014年度以前のデータはその他にまとめて記載されていたため、2015年度以降のみグラフ化した。この事業は、成長事業として力を入れている事業である。営業利益は赤字であるが、今後に期待したい。
構造改革などにより営業利益は黒字化したものの主要事業と比較すると規模はまだ小さい。[8]中長期計画にも言及されていないため、不明だが、ヘルスケア事業同様成長産業の1つである。
営業業績の分析
[4]“当連結会計年度の経済情勢は、我が国経済は個人消費の持ち直しや設備投資の増加等が見られ、緩やかな景気回復が続きました。米国経済は個人消費が一時的に減速したものの底堅さを維持し、欧州は緩やかな回復基調にありました。また、中国は緩やかな減速傾向が見られました。事業別では、映像事業においては、レンズ交換式デジタルカメラ市場及びコンパクトデジタルカメラ市場は縮小傾向が続きました。精機事業においては、FPD関連分野の設備投資は堅調に推移しました。また、半導体関連分野の設備投資は堅調に推移したものの、期後半は減速局面に入りました。ヘルスケア事業においては、バイオサイエンス分野及び眼科診断分野ともに海外を中心に市況が堅調に推移しました。”
セグメント別概要
以下全文引用[4]
映像事業
市場が縮小するなか、レンズ交換式デジタルカメラ及びコンパクトデジタルカメラともに販売台数は減少しました。
これらの結果、当事業の売上収益は2,961億69百万円、前期比17.9%減、営業利益は220億69百万円、前期比27.0 %減となりました。
精機事業
FPD露光装置分野では、中小型パネル用装置の販売台数は減少しましたが、大型パネル用装置が販売台数を伸ばし、大幅な増収増益となりました。半導体露光装置分野では、一部装置の販売が次期に繰り延べになる等の影響はありましたが、ArF液浸スキャナーやArFスキャナーの販売が堅調に推移したほか、構造改革による効率化が進み、二期連続の黒字を達成しました。
これらの結果、当事業の売上収益は2,745億40百万円、前期比21.3%増となりました。
また、営業利益はFPD露光 装置分野の増益に加え、半導体露光装置分野における特許訴訟の和解金等を計上した影響により、817億30百万円、 前期比53.1%増と、事業全体として大幅な増益となりました。
ヘルスケア事業
バイオサイエンス分野では生物顕微鏡の販売が海外を中心に増加するとともに、眼科診断分野でも超広角走査型 レーザー検眼鏡の販売が堅調に推移し、いずれの分野も過去最高の売上げを達成しました。事業全体としては、眼科診断分野や再生医療関連への戦略投資を計画通り実行した一方、固定費の削減等により 収益性が改善しました。
これらの結果、当事業の売上収益は654億34百万円、前期比15.2%増となり、営業損失は19億37百万円(前期は 32億63百万円の営業損失)となりました。
産業機器・その他
産業機器事業では、構造改革施策の一環であるCMM(Coordinate Measuring Machines:接触式三次元測定機)事業譲渡の影響などにより減収となりましたが、収益性が改善され、増益となりました。
カスタムプロダクツ事業では、固体レーザーと特注機器が増収となりました。
ガラス事業では、FPDフォトマスク基板や光学素材の拡販を進め、増収となりました。
この結果、これらの事業の売上収益は725億18百万円、前期比1.0%減となり、営業利益は69億37百万円、前期比 38.0%増となりました。
向先地域別売上高
[4]P23引用
地域別売り上げは上記の表のようになっている。売り上げ率は日本が13 %、米国が24 %、欧州が17 %、中国が28 %、その他が18 %となっている。
同業であるキヤノン(日本、欧州、欧米、アジアで約25 %ずつ)と比較すると、日本および欧州の売り上げが低い分アジアの売り上げが高くなっている。
成長性
経済的動向
[4]p5引用
今後の見通し
“当社グループの事業分野に関しては、映像事業では、レンズ交換式デジタルカメラ市場はフルサイズのカテゴリーでは堅調に推移することが見込まれるものの、全体としては縮小傾向が続き、コンパクトデジタルカメラ市場も縮小が続くことが予想されます。
精機事業では、FPD関連分野は中小型パネル用の設備投資は一段落するものの、大型パネル用の設備投資は堅調に推移するものと見込まれます。半導体関連分野は半導体市場の減速を受け、設備投資は一服するものと見込まれます。
ヘルスケア事業では、バイオサイエンス分野では、市況が引き続き堅調に推移することが 予想されます。
眼科診断分野では、網膜画像診断機器市場が海外を中心に引き続き堅調に推移するものと見込まれます。”
研究費割合
決算説明会資料[6]p27より、2017年度60,700百万円(売上高の8.5 %)、2018年度64,000百万円(売上高の9.0 %)となっている。
個人的考察
成長性について
成長性については中長期計画を参考にすると、材料加工事業に注力していくと明記されている。主な製品として3Dプリンター、レーザー加工機、三次元計測機など、ニコンが強みを持っている光を使った製作機器の展開を目指している。
また、ヘルスケア事業もメイン産業となるように長期的な投資と拡大を行うとなっている。
カメラ事業の大幅な縮小はほぼ避けられないであろうが、個人的に思うニコンの強みはやはり半導体露光装置ではないかと思う。理由は以下の2点である。
1.半導体露光装置の製作には大きな設備投資が必要で、新規産業の参入のハードルが高い
2.電気自動車、産業用機器とIoT化が進むにつれて半導体の需要も伸びていく成長市場である。
以上の2点から半導体産業に関しては非常に安定した成長産業であると考えている。
カメラ事業について
参考文献[9]に2000年代からの各種カメラの出荷台数が書かれている。これによると、2010年に全カメラの総出荷台数が1億2,000万台を越えたのをピークに急激に減速している。理由は単純でスマートフォンの普及に伴って需要が減速している。そして、[10]によると、2019年の見通しは1,690万台まで減少している。たった10年で約16 %にまで出荷量が減少している。ミラーレスカメラなど一部出荷台数に大きな変化がないものも存在するが、今後も出荷台数は減少していくであろう。
半導体露光装置
半導体露光装置のシェアはニコンがオランダのASML社を上回っていたが、2010年にはASML社が8割、ニコンが2割と大きく差が開いている。詳しくはリンクの参考文献を参照していただきたい。
簡単に要約すると、企業の成り立ちや体質、顧客層によるものであったそうである。まず、成り立ちや性質ついては、ASMLは1984年にPhilipsの一部とASMI社が合同で出資する合弁会社として設立され、ASMIが商社であったこともあり、調達力が優れている点が特徴であった。よって部品のすべてを外注し、ソフトウェアだけを自社で担当した。それに対し、ニコンの製品は光源以外を自社で生産していた。
また、顧客の内訳は(2005~10年)、ニコンはインテルが約半数近くを占め、次に東芝が2割ほど。それに対し、ASML社は韓国のサムスン電子が最も多く、SKハイニックス、TSMC続く状況であった。
ニコンのメイン顧客は複雑なデザインを構成するためにスペックの狭い製品を精密に作っており、それだけ個別の要求を満たすような製品を製作していた。
それに対してASMLは汎用的な製品を製作しているサムスン電子やSKハイニックスを生産しており、差別化よりも統一されたパフォーマンスが重要となった。
結果ASMLの顧客であるサムスンやSKハイニックスの拡大とともにASML社も拡大していった。
参考文献
[1] https://www.nikon.co.jp/corporate/profile/management/career/
[2] https://www.nikon.co.jp/corporate/philosophy/
[3] https://www.nikon.co.jp/corporate/profile/data/
[4]“2019年3月期決算短信”,
https://www.nikon.co.jp/ir/ir_library/result/pdf/2019/19_4qf_c_j.pdf
[5]“会社案内”
https://www.nikon.co.jp/corporate/profile/data/pdf/nikon2018j.pdf
[6] “決算説明会資料”
https://www.nikon.co.jp/ir/ir_library/result/pdf/2019/19_all.pdf
[7] “2018年アニュアルレポート”
https://www.nikon.co.jp/ir/ir_library/ar/pdf/2018/18nikonreport_j.pdf
[8] “中長期計画(2019年~2021年度)”
https://www.nikon.co.jp/ir/management/midtermbusiness/pdf/2019/0509j_all.pdf
[9]デジタルカメラ2000年代の出荷台数・出荷金額・平均単価の推移 | Amazing Graph|アメイジンググラフ
[10] 半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか (1/2) - MONOist(モノイスト)